中編6
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同調されやすい方はこれ以上私の内容を読まない方が良い。

じきに吐き気を催し、精神が犯される、理解してしまうと様々な念と同調し、脳の電気信号が遮断される…。

理解とは頭でなく肉体でもなく精神が諭す事。

いずれ精神が拒絶反応をおこすだろう。

読むのであれば今回は長い上に予想以上に怖くはない。

理解しがたい内容だ。

いろんな意味でやめた方がよいかもしれない。

思念。

私念。

生き霊。

意志が念となり、肉体から離れ、思いだけが対象の精神にまとわりつき、同調させる。

生き霊、呪縛霊だけではなく人間、霊体でも念を発すると言ったが念を発する理由は同じ。

人の心は常に恐怖、孤独で満たされている。

独りでいたくない。

誰かに想われ、慕われたい。

気持ちを理解して欲しい。

結果、人と人が同調し、友達となり恋人になる。

結婚は同調ではない。

結婚は業、カルマ、因果が絡む。

霊体も同じ。

意思を伝えるために念をはっする。

気づいて欲しいため。

理解して欲しいため。

伝える方法は念と同調のみ。

肉体がないため言霊ははっせない。

念と同調と言霊を理解し、力があるものがその力を使いこなせば驚異となる。

意図する目的をもった組織を作れる。

教祖が宗教をつくり、独裁者が軍を率いる。

歴史上の統率者にも歴史では載せない霊力や予知能力といった力を持つものが殆どだ。

俺も力があるうちの独り。

今では師の諭りをうけ邪の道には進んでいないが無差別に力を使っていた時がある。

「ちっ、殺すぞ、てめぇ」

高校時代。

あれていた。

念を通じて同調させ言霊により女を弄び、組織を作り悪行、喧嘩をした。

恥ずかしながら当時はヤンキーだった。

諭されるまでは。

俺の体に纏う念は黒い。

人は皆予め念を体に纏っている。

俗に言うオーラだ。

白を良とし邪を黒とする。

怒りの念を赤とし哀しみの念を青とする。

本人が発する念をベースに様々な念が交わり色をつくる。

絵の具と同じだ。

常時色は変わる。

人に善を施すと善がかえってくる。邪に導けば苦しみ哀しみの念が絡み付く。

細かく話すと、この話だけで終わってしまう…。

申し訳ない。

前置きが長くなった…。

「廃墟」

その単語を聞くだけで恐怖を想像するだろう。

あそこやばいぜ。

あそこ出るぞ。

嘘、噂が言霊となり念となる。

心霊スポットとはその場に留まる怨み、妬みの念が人を同調させ念を通じて言霊を発す。

人が人を集わせる悲しい場所。

高校二年の夏休み。

坊さんに呼ばれた。

現地へと電車でむかう。

初っぱなから嫌な予感がした。

電車の人身事故に出くわした。

「おいおい…勘弁してくれよ…」

そんな事を考えながら気になってホームにある窓から下を覗く。

此方を凝視している。

覗かなければ良かった。

目があってしまった。

下半身がなく腕も片方ない。

スーツを着ている。

俺が毎朝電車をまつホームの先の線路上にいる。

耳が痛い。

あまり想像したくない。

解雇された翌日。

いつも通りに会社に向かう。

ホームに立ち、解雇されたことを思い出す。

立ち尽くしたまま電車を見送り

また次の電車をまつ。

ホームが放つ誘いの念を浴び死へと誘う。

今でも脳裏に焼きついている。

そんな事を想像しながら復旧をまち、ニ時間かけて漸く現地に到着した。

青空、空気、森。

素晴らしい。

先ほどの出来事は忘れていた。

神秘的な山。

具体的な場所は伏せる。

大きな山ではない。

初めての同行。

滞在は2日間。

「俺とここに行ってくれ」と坊さんが言う。

男と二人。

気持ちが悪い。

勘違いしないでくれ。

要は視てくれとのこと。

必要であれば諭してくれと。

やばければ払うといわれた。

勘違いしている。

俺に霊は諭せない。

何故なら経を覚えてないから。

人ならいけるが霊は専門外。

ただ断れない。

報酬などはない。

此が俺の定めだから。

ここは地域一帯が土地の力をもろに受けている。

水、地、空から良い気が発せられ取り巻く念が心地よい。

同時に念の影響を受けやすく留め易い。

これぞパワースポットと呼ぶに相応しい場所。

テレビで言うパワースポットは勿論良い気を発しているが、

心霊スポット同様に人が噂、嘘を言霊、念として発しているため妬み、哀れみ、羨み、希望の私念の影響も請けるだろう。

ここには外部から受ける一切の私念がない。

行先は今は無き集落。

そう。

坊さんの一族が以前に諭された集落。

要は坊さんでも一人は怖かったんだろう。

ただ、俺といると余計に怖い思いをすることはわかっていないようだ。

初めて実際の場所を見た。

鳥肌がたつ。

耳鳴りはしない。

山の中に廃墟が6つ。

中央に井戸がある。

教科書でよくみる家が並ぶ。

何かに見られている…。

笑いとともに鳥肌がたつ。

面白い。

俺はこの日は食事をしなければ寝る事もしない。

欲を満たすと無心になり同調されやすくなり、眠気を催す。

寝れば尚更だ。

幻聴、幻覚ならまだよい。

下手をすれば操られる。

時間があるのでまずは川で泳ぎ、釣りをして楽しんだ。

夕方になり、集落に戻る。

焚き火を前に体を乾かす。

倒木に腰掛けタバコをふかした。

「バチバチッ」

木が弾ける音。

風が心地よい。

山は夜になると夏でも肌寒い。

場所の影響もあるだろう。

いつも以上に風が冷たい。

大量に日本酒を飲んだ坊さんは寝袋に入り込み、鼾をかき、呑気に寝ている。

やはり怖いのだろう。

俺は倒木に座り込み目を瞑りながら酒を飲む。

霊は諭せないが視るだけ視てみたい。

いざとなったら坊さんに泣きつこう。

寝ているが起きるのだろうか…

一時間程たっただろうか。

耳鳴りがした。

耳をすます。

「かさっ、かさっ、かさっ」

何かが近づいてくる。

足音。

「かさっ、かさっ、かさっ」

「かさっ、かさっ、かさっ」

一人ではない。

複数人…。

5人だ。

それぞれ、廃墟からでてくる。

井戸の前で焚き火を囲む人が思い浮かぶ。

俺と坊さんを順番に皆で覗き込んでいる。

何もなければよいが…。

そう思った矢先。

5人が坊さんを担ぎだした。

現実ではない。

想像、同調だ。

「やばい!」

慌てて目を開ける。

寝袋で寝ている坊さんを見る。

大きく開いた目が充血しこちらを凝視している…。

完全に同調されて操作されている。

さすがに俺も恐怖を感じ固まった。

やばければ払うとまでいわれたがあきれる・・・。

「おーい」という問いかけにも反応しない。

寝袋からでて歩き出した。

目が血走っているので様子を見ることしかできなかった。

噛みつかれそうだ。

ゾンビを想像してくれ。

その顔の表現が的確だ。

何故か何処かへと歩き出した。

懐中電灯を片手に追いかける。

集落の裏から山を登る。

道ではない。

木々を掻き分け着いた先。

祠。

坊さんは相変わらず操られているようだ。

「うぅ゛〜、うぅ゛〜」

と唸りながら歩いている。

だんだん読めてきた。

俺には害はない。

俺を導いている。

先にあったのは小さな社。

長い間ここにあったのだろう。

苔が生え草木が生い茂る。

社には位牌が並んでいる。

数は5つ。

坊さんは社の前で座り込んでいる。

俺は大声で「わかったよ」と声をだし掃除した。

掃除が終わる頃、坊さんが立ち上がり来た道を戻っていく。

5人は満足したのだろう。

翌日、坊さんは泥まみれな体に首を傾げている。

俺は眠い目を擦りながら坊さんを諭して、帰宅した。

家に帰り風呂に入る。

外で受けた念を洗い流す。

飯を食いすぐに寝た。

疲れていた。

20時間は寝ただろう。

起きた時に全てが繋がった。

坊さんの先祖が坊さんに諭された後、生きるため、この集落で真面目に罪を購った。

先祖の男は15歳ほど。

集落は5人で殆どが30歳前後。

当時の寿命は今ほど永くない。

一人、また一人と年をかさねる毎にいなくなる。

先祖の男は亡くなるたびに祠の社に故人を刻み、経を読み、感謝し、魂を諭した。

最後の一人になるまで。

その後、先祖の男は集落を出た。

いつしか男もこれなくなり今に至る。

最後は5人と俺が杯をもち宴をしている。

一応、感謝をされたのだろう。

目覚めはよいが、体中が鞭でたかれたようなジンジンとした痛みが続いていたのを今でも思い出す。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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