中編2
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岐阜 奥飛騨にて 下巻

1988:8/20  00:03

『誰もいない、誰もいないんだ』

『何かが起こってる…ぼ、僕に何かあった時の為に記録しておく』

画面には父親の顔が映っていた。目が血走り汗だくで恐怖に包まれた顔。

『お〜い、だれか!だれか…』

『なんで、なんでこんな事に…』

歩きながらカメラを持っているせいか、画面が激しく動く。

『明子〜!しんや!あけみ〜!』『どうなってるんだよ…みんな…』

父親の、上がった息と地面をする土の音だけが聞こえる。

『あっ!おいっ』

揺れる画面が一瞬だけ立ち尽くすしんやをとらえた。

『おいっ、しんや!』

『どうしたんだよ、何してんだよ!』

『しつかりしろっ!』

父親は肩紐でカメラをかけたのか映像は地面ばかりを映していた。

ビンタした様な鈍い音がした後しんやの声が聞こえた。

『健二…あぁっ!ダメだ!逃げるぞっ!』

『えっ?』

『走れっ健二!』

『なんなんだよ!』

『ええから走れっ!』

『な、なんか後ろからきてるのか?』

『た、たぶんな!絶対に後ろ見るな!』

『ええっ!マジかよ!』

『何なんだよ?』

『お、俺、見てもうたんや…そ、そんなんええわ!今は死に物狂いで走れっ!』

『ちょっ、なんで急に止まるんだよ!』

滑り込む様な音がした。

しんやが止まったのか…?

『あぁ〜あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

『しんや!なんだよ、なにしてんだよ!』

『おい、ふざけるのはやめろよぉ』

『しっ、しんや…、どこにいくんだよ?』

『そっ、そっちはあぶない、崖だぞ!』

『落ちるか……ら………………』『……………………ぎゃーっ!』

突然走り出す父親。

かなり走った所で振り返り、思い出したかの様にカメラを持ち、今来た方向に向ける

『ハァハァッ、ダメかもしらん…見てしまった…ゲホッゲホッ』

『何かがいる…何かが』

画面は真っ暗な森の細道を映し出していた。

『あれは、ハァハァ…あれはなんだ……』

『何個も…何人も…ひとじゃない…ひとじゃ…』

『何だよ?何なんだよあれ?』

『来るなぁ!…』

『やめろっ!来るなっ!お前っ!』

その瞬間カメラが飛ばされた。

カメラは何も無い森に向いている。

『た、頼む!やめてっ…や…め…て…あき…こ…ぉ………………』

ぼうぜんとテレビ画面を見ていた俺はテープが終わり砂嵐になっていたのも気づかなかった。

どう言う事だ………要するに…

テレビとビデオの電源を切りながら考えていた…

テレビ画面が暗くなり徐々に俺が映し出された。

何か後ろにいる…その画面には母が俺の後ろに立っているのが見えた…右手に何かを持って…………………

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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