俺が小学生の時の話しだ。
その日は忘れ物をして罰として放課後居残りで教室の掃除をさせられていた。一人で黙々と床を掃いているときに、ふとグラウンドが目に入った。普段ならばまだ遊び足りない学童がサッカーなり野球なりしているはずのグラウンドに誰もいないのだ。
おかしいな?今日は何か面白いテレビ番組でもあるのかな?早く帰らなきゃ、と思い、いそいそと塵を掃く。自然箒を動かす腕が速まる。と言うか気づいていた。先ほどから後ろからタッタッタと足音のような音が聞こえていた。まるでケンケンパでもしてるかのようなリズミカルな音。
恐怖だった。この空間には俺とソレしか居ない。ましてや外に誰もいないんじゃ絶望的な恐怖だ。箒が床を擦るか細い音がもどかしい。もっと早く掃かなきゃもっともっと。
しかし箒の音でソレの足音をかき消せる筈もなく半泣きで後ろを振り返った。
息を飲む。ゴクリと喉が鳴った。
そこには白目を剥いて半狂乱に飛び跳ねるおじさんがいたからだ。
てか本当ですかそれ?
イヤ、だったら怖いなぁって。ニヤニヤしながら先輩は返した。
この人は色々な怖い話を教えてくれた。何よりかによりこの人と一緒だと怖い体験を頻繁に経験する為僕は慕っていた。しかしたまにこうやってふざけた話をする。ガッカリしている僕を横目に真剣な顔で先輩は呟いた。
しかしなんだったんだろうな?あれ。
まだ残暑厳しい季節なのに少しだけ寒くなった。
怖い話投稿:ホラーテラー 雪さん
作者怖話