如樂扉(にょらくとびら)

長編13
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如樂扉(にょらくとびら)

こういうサイトに投稿してよいものかどうか迷っているが、これから自分の身に何が起こるかもわからないので書いていこうと思う。

あと文の才能は無いので無駄に長くなると思う。

俺の生まれた土地は昔から閉鎖的な土地柄で変な宗教が常に中心があった。

あった、じゃない。今でも続いている。

俺も詳しくは知らないが自分の心には常に薄汚く、淀んだ部分があり、それを浄化していかなければ、死後の世界で永遠と苦しみ続ける、というものらしい。

俺の土地では仏壇(どこの家にも仏壇とはあるものだろうか?)の代わりにコウシン如樂像(コウシンはどういう漢字かわかんない)がどこにでも置かれている。タヌキの置物の頭が人の頭になったものを想像してみたらいいと思う。

閉鎖的な土地とおかしな宗教が重なったからだろうか。この土地の人間の信仰は並大抵のものではない。宗教にそぐわないもの=敵、といっても過言ではない。

ここは日本であって日本ではない、とどこかで聞いたことがあったような気がする。

当時18歳だった俺は片道3時間くらいかけて別の土地の高校へ行っていた。友達なんて呼べる人はおらず、地味な高校生活を送っていた。

今思えば、部落差別のようなものだったのかもしれない。違うとは思うけど。

その日はとにかく暑かった。外ではセミがうるさく鳴いていて太陽が肌をジリジリと焼くような日だった。

一緒に住んでいる祖父と祖母から「話がある。」と言われ母親と2人で話を聞いた。

「今回の如樂祭で○○は『扉』を開けてもらうことになったがやじゃ。」

俺はポカーーンとしていた。扉?じいちゃん頭でもおかしくなったか?と思っていたが母は「そんな・・・。おとうさん、何かの間違いでしょう?○○が・・・。」と青ざめていた。

「さっき、如主様が直々に伝えに来られたがやぜ・・・。」と祖母が言った。

母は俺に体を寄せてきて。うっうっと嗚咽を漏らしていたが祖父と祖母は対象的に喜んでいた。

祖母「何言うとんが、△△さん!(母のこと)これは滅多にあることじゃないんよ?」

祖父「こんな早い時期から浄化することができるなんて○○は運のいい子ながやて!」

祖母「ああ!○○!あんたやったね!これで如樂様の教えへと近づくことできるね!」

母「ふざけないでください!!こんな命を粗末にするようなこと!私がさせません!!」

祖父「・・・○○。外でてろ。ちょっと△△さんとはなさがやいけん。」

俺「・・・うん。」

俺は座敷から出て自分の部屋で雑誌を読んでたんだが。時々、座敷から大きい声が聞こえた。

俺の祖父や祖母に限らず、この土地の人間は皆、宗教を盲信している。母はそのなかでもまともな人間である。

母はもともとこの土地の人間ではない。父の実家であるこの家に嫁ぎに来たのである。(そのため、信仰の薄さが原因で父とよく喧嘩していたが、その父も今はこの世にいない。)

俺は女手一つで育てた母に信頼を寄せていたためか俺自信、信仰は薄かったが年々外部との接触が増え、信仰は弱くなっていたらしい。

それでも当時、母は浮いていたのではないかと思う。四面楚歌とはよく言ったものだ。

それから10日くらいあとの晩、俺は母に静かに起こされた。

「○○。静かに聞いて。今からちょっと一緒に出かけよう。寝巻のままでいいから。静かに。声出しちゃだめよ。」俺は寝ぼけていて状況をよく理解していなかったが母についていくことにした。母の車に乗り、背もたれを倒し、眠ろうと思った。

とにかく、熱帯夜だった。ほんとにそれしか覚えていない。

車を出して10分くらいだろうか。母が急ブレーキをかけた。シートベルトをしていなかった俺は思いっきり前につんめのった。母の顔を睨みつけようと思い、・・・止めた。

眼の前には何人もの村の人間が立ちふさがっていたので。それぞれが懐中電灯をもっていたが、反対の手にはナタのようなものをもっているものもいた。

ここでようやく状況が理解できた。俺が祭りにでることに反対していた母は俺を連れてこの土地を離れようと考えていたのだ。そして眼の前の男たちはそのことに気付いたのだ。

「なにしとんがやじゃお前!!」「出ろ!!」と男たちは扉を開け、母と俺を引きずり出した。

俺はなにがなんだかわからず、ずっと「ごめんなさい!ごめんなさい!!」と連呼していた。母はずっと俺の名前を呼んでいた。

あとから聞いたことだが、俺達が逃げたことを伝えたのは祖父だったそうだ。

俺は頭になにか被せられ、別の車に乗せられた。俺は混乱した頭でおそらく家に帰されるのだろうな、と考えていた。

連れてこられた場所は、トイレと布団しかない部屋だった。扉は固く閉ざされていて、日の光もわずかしか入ってこないようなところだ。

たまらなく不安になった俺はただひたすら「出して!すみませんでした!!!」とずっと叫んでいた。

今になって気付いたことだが俺が謝ってるもんだからあんな部屋に閉じ込められたのだと思う。おそらく俺は扉とかいうことについてあらかじめ聞かされていると思っていたのだろう。

だから俺は祭りについてろくな説明を受けないまま当日を迎えた。

祭りは監禁されてから丸一日たったときだった。

寝ているところを起こされ、手には手錠のようなものを掛けられ(手錠にはしらない文字がびっしりとかかれていた。)30分ほど、男7、8人に囲まれながら歩いて行った。「母はどこにいるんですか?」f「これからどこに行くんですか?」と男達にはなしかけても、無視された。

しかし、顔からは「こいつ、なんで知らないんだ?」みたいなことが窺えた。

着いた先は大きな広場だ。ここはいつも立ち入り禁止になっているところだ。『如樂さまのあれがどうたらこうたら・・・。』と昔、祖父からきいたことがある。

広場には他にも大人が何十人もいて、それぞれがなにかぶつぶつと唱えていた。はたから見ればお祭りの何かだとは思うだろう。それでも今は深夜。村は静まり返っていたし。祭りの屋台もとっくに片付いていた。

俺自身、お祭りの後にこんなことがあるなんて知らなかった。これからなにをするつもりなんだ。母はどうなってしまったのだ。広場の真ん中には何か2メートルくらいの長方形の板みたいなのが4枚ならんでいる。

よく眼を凝らしてみてみると・・・ドアだ、どこにでもあるような普通のドアだ。それが横一列にぴしっと並んでいるのだ。どこでもドアみたいなものだと思ってもらえればいい。そのドアにもびっしりと何か書いてあり、気味が悪かった。

それから2、3分あとに俺と同じような背格好の子が3人やってきた。そいつらも俺と同じ扉を開ける係らしい。皆、中学生か小学生くらいに見えた。最年長は俺だった。

俺ら4人は一人ずつその扉に立たされた。近くで見ると本当に気味が悪い。周りの大人たちの声も少しずつ大きくなっているような気がした。

ここでやっと手錠を外された俺は、また「これから何が始まるん?」と隣の子に聞いた。顔はまだ幼く見え、中学1年か2年くらいに見えた。

中学生は「これから自分の汚れと戦って、より心を綺麗にするんですよ。」とぼそりと言った。

俺は、はあ・・・と適当に言った。意味がわからない。戦うってこのどこでもドアとか?

中学生はさらに口を開いた。

「ああ・・・。あああ・・・。うれしいですね。これで僕もより心を綺麗にすることができるんですね。如樂様の広いお心遣いに本当に感謝いたします。」ほかにもそいつはニタニタらながら何かブツブツ言っていた。こいつもこれを信じているんだと思った。鳥肌がざわざわとたってくる。

「よし、では如来少年△○×&の方。(聞き取れなかった。)如樂扉をあけ、自分の汚れと対峙しより如樂様のところへと近づいてくるのだ。」

他の3人(特に隣の中学生)は「はいっ!」と元気に声をだして。その扉を開けた。扉を開けたといってもその先に部屋などない。

ないはずだか、少年たちは扉を開け中に『入った』。なにか変なマジックでも見せられているようだった。本当にどこでもドアだった。

思わず、後ろに一歩引き中学生の入った扉をみようとしたが、同時にバン!と大きい音をたててドアは閉まってしまった。

後ろから「どうした。入れ。」と大人に言われた。だがこんなところ入れるはずがない。すると周りから「入れ!!入れ!!入れ!!」とまくしたてられるようになった。俺は半泣きになりながら恐る恐る扉を開けた。

そこには自分の部屋が広がっていた。見慣れた部屋だ。俺の頭はさらに混乱した。

ふいに後ろからおもいっきり押され、俺は扉をくぐってしまった。と同時に扉はバン!と閉められた。俺はたちあがり後ろを見たが。さっきの扉は無い。

あるのは廊下と自分の部屋をつなぐ戸だけだ。周りを見渡すとここは確かに自分の部屋だ。外からは太陽の日差しが漏れている。そこで俺はさらに混乱することになる。

今は深夜のはずだ。なのになんでこんなに外が明るいのだ!?カーテンを開けるとそこにはいつもの景色が広がっていた。窓を開けようとしたが、開かない。

いや、触ることができない。不思議な感覚で触ろうとするとつるつるとすべってしまう。俺は自分の部屋の窓を壊そうとは思わなかったが、例え壊そうとしても無理だったのではないかと思う。

俺は廊下に出ようと思い。ドアノブを回した。やっぱりそこには自分の家の廊下があった。廊下に出た俺は「ばあちゃーーん。じいちゃーーん。母さーん。」と叫んだ。

すると座敷のほうからゴソッと音がしたのである。誰かいるんだ!と思い、足早に廊下を歩くとふすまに手をかけ、スーっと戸をひいた。

そこには、人間じゃないなにかがいた。ごめん。本当にそんな表現しかできない。ずんぐりとした体形。そしてその体系には似合わない細長い手足。そして頭にあたる部分がない。そしてしきりに「キリキリ・・・。」と歯ぎしりのような音を出している。そいつが後ろを向いていた。

俺は「ひっ!」と叫び戸を閉めた。あんな動物見たことがない。いや、動物じゃないだろう、なんだあいつは。

考えがまとまる暇もなく、襖がダン!と急に開いた。あいつがでてきたのだ。俺とそいつとは正面を向き合う形になっていた。

こいつには頭が無い、と思っていたが違った。胸の部分に顔がついているのだ。顔はひどく歪んでいて男か女かなんてわからなかった。いや、そもそもこいつは人なのか?

そいつの眼は俺を睨みつけていてあきらかに敵対心をもっていた。俺はただ眼の前のものを見続けることしかできなかった。そいつの鼻息は荒く、相変わらずキリキリキリキリと不快な音を鳴らしている。どことなく硫黄臭もしていたような気がする。

本当に怖い、と思うと声なんてでてこないのだ。ただただ震えるのみである。

均衡が破れたのはそいつの背後になにか銅像のようなものを確認してからだった。そいつのか細い両手が俺の肩をがっしりと掴んだ。俺は正直それだけで意識が飛びそうになったけど、俺はさらに驚愕することになる。

そいつの顔らしいところの下、横1㍍くらいに線ができたと思うとグパアァとでかい口が開いた。(最近みた映画で思い出せないけど、ジブリ?の映画で黒い仮面をした化け物がでたけどあんなかんじ)口の中は周りの光の反射とか関係なしに真っ暗だった。

そしてキリキリキリキリキリキリと一段と金切り声が大きくなった。どうやら先ほどの声はこの口で発しているようである。

そこで俺は初めて悲鳴をあげた。人生で初めてだったかもしれない。命の危険が眼の前にまで迫っている。そのときはそれしか考えられなかった。

おああああと叫んでそいつの手を振りほどき股の下を通ってその像のところへと急いだ。

なんでそういう行動のでたのか今でもわからない。本能というかなんというか。

像はよく見かけている如樂像だった。そして後ろにいるそいつと如樂像が似ていることに気がついた。しかし、そんなことはどうでもいい。俺は像の前に座り込み両手を畳につけ頭を下げた。「助けてください!ごめんなさい!すみませんでした!」この時ほど眼の前の像が神々しく見えたことはない。

不意に後ろの気配に注意が行った。そいつの手が後ろから俺の首に巻きついてきたのである。ぬめりとした感触が首に吸いついてきて、俺はまた声が出なった。今度こそもう抜け出せない、そう思った。

その時、キリキリと金切り声しかあげなかったそいつが息を吸い込んでいた。

いぬれめりけんとしぬるす、われがしでけんと、なんとむもおわれけり。

そいつが出した言葉と気付いたときには、俺はすでに扉を開けていて、元の世界に戻り、村人の眼を集めていた。

横目で他の扉を見ると一番端の子供がすすり泣きながら地面に突っ伏している。俺はまだ状況を理解していなかった。

周囲を見回しても村人たちが俺ともう一人の少年をじろじろと見るだけである。

それから20分が過ぎたが、その他の扉は開くことはなかった。

それからはいろいろなことが起きて自分でも混乱していた。村人の一人(なんかリーダーぽかった)が俺に手をかざし、ブツブツと何かい言った後、「おめでとうね。」とやさしい声を掛けてくれたのを皮切りに村人が一斉に歓喜の声をあげた。

「あれ?え?えっ?あいつは?なんで?」と言葉が見つからない俺にそいつが「本当にようやったね。これで君の心は完全に浄化されたんよ。おめでとうね。」と言ってくれた。

俺はただ「ありがとう・・・ございます。」と言って座り込んでしまった。

なにが起こったのかさっぱりわからなかった。さっきの出来事はほんの5、6分の出来事だったがまるで永遠のように感じていたので俺は疲れた、とボソッというとその場でうつぶせになった。

そこにはただ助かったという安心感しかなかった。

気がついた時には俺は自分の部屋で寝ていて、またあの世界に戻ったのか!?と思ったがすぐに思い直した。横には祖父と祖母がいたので。

ここからはそのあとにおこったことをぶつ切りに話して行こうと思う。

祖父にあの祭りのあとの行事はなんなのかを尋ねた。願わくば全部夢であってほしいと願いながら。

あの扉には正式名称はないそうだが、祖父はあれを『如樂扉』と呼んでいるそうだ。

今回、俺がやったことは如来様への信仰心を試し、証明することで如来様に自分のけがれた部分を浄化していただく儀式、らしい。これは俺もなんとなくだが時間がたっていたこともあってなんとか理解していた。祖父は俺が逃げたことを忘れたとでも言うように、無事に戻ってきてくれたことを喜んでくれた。うれしくはなかったが。

俺が見た怪物は、俺の心のけがれた部分らしい。俺はそいつの恐怖に打ち勝って、如来様の教えを守ったため、如来様に認められ心を浄化してもらったのだそうだ。

あの扉は自分の心のなかの世界をつなぐものだ、と祖母が教えてくれた。俺の世界は家一軒ということか。心が狭いのだな、と思った。

ちなみに扉や手錠に書かれていた言葉は俺の名前らしい。

この地域では2つ名をもつ習慣があり、自分の心に入るのに必要な名前?らしい。他にもあれが俺の血液がまじった墨で書かれたものであるとか、あの扉に俺が入っていた後など詳しく教えてもらったが、俺がもっとも知りたいのはそこじゃなかった。

「母さんはどこにおるん?あと、俺と同じように扉を開いたあと帰ってこんだ2人は?」

扉を開けた2人はなんとなく予想できてはいた。あのあと、俺の眼の前で扉が燃やされるのを目の当たりにしたので。しかし、母は違う。村人に捕まったのを最後に母を見かけなかった。一呼吸置いた後、祖父が口を開いた。

「お前の母さんはもう2度と如樂様のところへはいけない。あの2人もだ。なんでって如樂様を侮蔑したのだから。この先△△さんとお前は会うことはないやろうね。お前もはよう忘れんないけん。お前の心が綺麗になったのならこれはわかるだろうね?」

この瞬間から俺は祖父と祖母、いや村人全員とかかわりたくない、と心底願うようになった。

5年後の今現在、俺は東京でフリーターをしている。

高校卒業後早く独り暮らしがしたかった俺は上京し、いまに至る。就職氷河期と言われてるこの時代でもアルバイトくらいならそこらへんに転がっている。

貧乏ではあるが、生きるのが苦しいほどじゃない。友人も少ないがいるし。彼女もいた。今はいないけど。

5年間、祖父と連絡を取っていない。とろうとも思わないだろう。あいつらはきっと「やっぱりよそ者の息子なんてろくなものじゃない。」なんて愚痴をこぼしているかもしれない。

母がどうなっているかはまるで知らない。生きてくれていればうれしいのだが、祖父や祖母に聞いても知らないの1点張りだった。

その母から手紙が届いたのは2週間ほど前である。驚きと感動を抑えて俺は文を読んだ。

文の内容は8月の12日までに村に戻ってきてほしい。という内容だった。それと1度でいいから顔を見せてほしい、ということだった。

俺は疑った。なぜ教えていないはずのここの所在が分かったのか。仮に興信所などで分かったとしてなぜこの先2度と会えないと言われた母から手紙が届くのか。

おそらくではあるがこれは祖母か祖父が母を装ってだした手紙ではないか?と感じた。

そうだとしたら、しゃあしゃあと「○○の体が心配です。」などと上っ面を装ってまたあのろくでもない村へ招こうとしている祖父と祖母の様子が頭に浮かんできて、俺は怒りでわなわなと震えた。

しかし、本当に母が書いた手紙だとしたら今すぐにでも会いに行きたい。それにあの祭りもこの時期だったこと思い出し、さらに詳しく聞くことができるかもしれない、と思うようになった。

あの扉は一体なんだったのだろうか?あのでかい化け物は?母は?祖父や祖母、村人、大きく行ってしまえば如来様とはなんなのだろうか?

もう一度あの村へと行けばすべて分かるのだろうか?

俺の手元には母から来た手紙と俺の村のある県行きの夜行バスのチラシがある。

怖い話投稿:ホラーテラー 夏休み房さん  

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続きはないんでしょうか?これはめちゃくちゃ気になりますね。

先が非常に気になります…(・・;)
面白かったです!(^-^)/