短編2
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私が高校2年の時に経験した話です。

私の通っていた高校の近くには、敷地の広い大きな公園があった。

ある日、私が当時の友人達とその公園の広場でサッカーをして遊んでいた時のこと。

友人の一人がシュートを放ったところ、そのボールはゴールに見立てたペットボトルを大きく逸れ、コロコロと遠くへ転がっていってしまった。

そのゴールのキーパーを務めていた私は、ため息をつきながらそのボールを拾いに行くことにした。

ボールは私を嘲笑するかのように転がっていく。

しばらく歩きながら追っかけていると、ボールは気が済んだのか、勢いを緩め、ついには静止した。

私はそのボールのそばに行くと、つま先を使い、ちょうど自分の腰辺りにボールが来るように宙へ軽く蹴りあげた。

蹴り上げる時、ボールに視線を落としていたわけだが、それを腕に収めると私は視線を元に戻し、踵を返してみんなが待ってる広場へ急ぐことにした。

しかし、みんながいるはずの広場を視野に捉えた私は目を疑った。

広場などそこには無かった。

鬱蒼と生い茂る木々が目の前には広がっていた。

・・・・・・・は?

訳が分からずそこに佇んでしまった私は、心の底から焦燥感が込み上げてくるのを感じていた。

すると、何かが後ろから肩に触れた。

私は思わず

「うわぁー!!」

と叫んでしまい、その何かに正面を向くように、体の向きを反転しながら尻餅をついてしまった。

ガシャガシャガシャ!!

私の激しい動きと共に金属音がした。

どうやら私は鎧のようなものを着ているようだ。

目の前には中年の男性が二人程立っていた。

しかし、着ているものが普通では無かった。

その二人も鎧を着ていたのだ。

日本史の教科書などで見るような。

私は彼らの腰に差してある納刀された刀を見て身の危険を察したのだろうか、気付くと木々の間を縫うように走っていた。

それにしても鎧が重すぎて上手く走れない。

肩越しに後ろを見ると、二人は追い掛けて来ていた。

しかし、何かを必死で叫んでいる。

「親方様!!お待ち下され!!」

私にはそう聞こえた。

しかし、そんなことをいちいち気にする余裕など無かった。

私は体力が尽きるまで走るつもりだった。

続きます

怖い話投稿:ホラーテラー ジャバさん  

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