ガシャっガシャっガシャ
辺りに自分の着ている鎧から発せられる金属音が響き渡る。
しかし、何の兆しも無いまま、自分の体が急に動かなくなった。
・・・・・・あれ?
そのまま体は踵を返した。
二人の中年男性が息を切らしながら小走りで駆け寄って来るのが見える。
おい!!
何やってんだよ!!
早く動けよ!!
逃げろよ!!
斬られんだろ!!
私は彼らの腰に差された刀にひどく恐れを覚えていた。
体が動かない。
まるで何かに体を乗っ取られたよう・・・・・
(中年男性達の言葉は古風な感じがしたため、よく聞き取れませんでした。ここでは自分なりの解釈で書かせて頂きます。)
「おっ・・・・・親方様っ!!」
「何故急に走り出すのですかっ!!」
斬りかかって来るのかと思いきや、彼らはそんな言葉を発した。
「すまぬ。私の元に訪問者が来たようでな。」
・・・・・あれ
勝手に自分の口が言葉を発していたため、驚きを隠せなかった。
しかも訪問者って・・・
明らかに俺のことだ・・・
目の前の二人はもちろん、呆けた顔をしていた。
「さぁ、先を急ぐぞ。カゲカツ(?)殿がお待ちだ。」
カゲカツ?
・・・・・誰?
私たち三人は再び歩きだした。
相変わらず体は言うこと聞かないままだ。
いつの間にか私は心の底からワクワクしていた。
自分はきっと今戦国の時代にタイムスリップしてるんだ!!
非現実的な考えだったが、この際その真偽はどうでもよかった。
今自分は鎧を着ている
そう思うだけでワクワクしていた。
浅はかだった
怖い話投稿:ホラーテラー ジャバさん
作者怖話