中編3
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イヤな予感の通り…

ウチのサークルの幹事がいい加減なヤツで、今年夏の合宿で泊るはずだった民宿が、予約のトラブルかなんかで泊れなくなった…、つうか予約の日を1日間違えてやがった。

慌ててツテを頼って電話しまくってるけど、このハイシーズンの土日に30人からが泊れるところがそうそう簡単に見つかるかよ…

みんな呆れ気味で、そのまま帰還することを覚悟した……。

ところが探せばなんとかあるもんで、首尾よく一件の民宿を確保。

「今時期に空いている民宿なんて、なんかワケありなんじゃねぇの?」

なんて縁起でもない事をいいながらも、みんな内心ホッとしながら、最初の宿から車で40分ほど走った先にある民宿へ。

案内されたのは民宿の離れっていうのか、本来の民宿からは少し離れた田んぼの真ん中に立ってる一軒家。小綺麗にこそしているものの、そのシュチュエーションがなんかマジヤバそうで、みんな無言…。

どうやらメシと風呂は民宿のほうを使って、離れのほうで寝ろってことらしいんだ。

はっきり言って、みんな内心ビビっていた……

さて、この離れ…、家ん中にはホントに何にもない。玄関から入った先に大きな姿見と冷蔵庫、流しの脇の棚に大量にコップが置いてあるだけ。

部屋はだだっぴろい大部屋が一つと、6畳くらいの小部屋が一つ。トイレが何故か4つ。

仕方ない、少し窮屈だけど女の子たちに6畳間を使ってもらうか。

と部屋を開けたとたん目が点になった…。

やけに立派な仏壇が置いてあって、線香の強い匂いがツンと鼻についた。

そして、ほんの少し前まで、そこに人がいたような気配が…

マジヤベぇ…

だって、扉の内側に、これ見よがしにお札まで貼ってあんだぜ。

当然のことながら、その部屋は即効開かずの間に…

女の子たちも大部屋で寝ることになった。

それはそれで、なんとなく嬉しいけど(苦笑)、みんな気分は晴れなかった…

風呂入って、飯食って、花火もやったし、あとは離れにいって寝るだけなんだけど、なんかねぇ…

ま、でも買い出し班がビールやらチューハイやらいっぱい買って帰ってきたから、気を取り直して宴会やって盛り上がんべぇ…

馬鹿だよなぁ、俺達。

なんで怪談話なんか始めちゃうんだろう。

当然話題は例の仏間…

そもそも、この離れはなんなんだっつう話で盛り上がった。

有力な説(?)としては、民宿のオヤジが変な新興宗教にハマっててココが集会所になってるって話。

そう考えると、オヤジ…目がうつろで、なんとなくヘンな雰囲気をかもしだしてたなぁ。

あとは、手に負えない悪霊をココに封じ込めてるってやつ…

でも、もしそうならまさか客を泊めないよなぁ……

なんだかんだで夜中まで盛り上がって、そろそろお開きってことでみんな布団にもぐりこんだ。

結構お疲れだったのか、みんな早々に寝息を立て始めたんだが、俺ともう一人の女の子が眠れなくて取り残されたんだわ。

そのうち…

ほのかに香る線香の匂い…

かすかに聞こえる読経の声…

そして、例の仏間が音もなく開いた…

読経の音が大きくなる…

そして、4か所あるトイレの扉がバタン、バタンと大きな音を立てて全て開いた…

その時点で半数くらいの人間が目を覚まし、固唾をのんで事態を見守っている…

仏間から白っぽい煙がスーッと出てくる…

線香の煙というより霧みたいな冷たい空気ってカンジ…

「シャレになんねぇ! 化け物屋敷じゃねぇか!!」

もはや全員が目を覚まして、分けのわかんねぇこと言って怒鳴ってるヤツはいるし、シクシク泣いているヤツもいる。

なんなのかは分かんないけど、ちょうど人間くらいの質量の黒っぽい物体が空中を飛びまわってるし…

そこに及んで、全員離れから逃げ出したんだけど、不思議だったのが全員のクツがない!!

しめて29人分、玄関に散乱してたはずなのに…

全員裸足のまま逃げ出して、宿泊費も払わず帰ってきちゃった。

幹事のヤツに聞いたら、もう2週間たつけど民宿からは何もいってきてないらしい。

このままバックレてたらなんか厄介なことになるかなぁ?

ちなみに場所は山梨県某所………

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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