短編2
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しょぼい心霊体験

大人気ないことこの上ないが、怖い話が大好きだ。

ネットで人気の「コトリバコ」「八尺様」「姦姦蛇螺」が大のお気に入りである。

作者は今どこでどうしているのか。その後どうなったのか。考えているとご飯を作る気もしない。

もし創作だとしたら、素晴らしいストーリーテラー達である。ぜひ映像化してほしい。

それらに比べるとかなりしょぼいが、私もそれらしい体験を一度だけしたことがある。

仕事でお邪魔した先で昼食後トイレに入った。まあ、ここでオチは半分見えたに等しい。

私はドアを入って最初の個室に入ったのだが、戻ったら待ったなしの作業が待っていたため便座に座ったまま午後の段取りを熟考していた。

すると「バン!」と誰かがトイレに入ってきた。

「ダダダダ!」 (私の個室の前を横切る足音)

「ダン!」 (隣の個室に入る音)

「シャーッ!」 (“小”の音)

「・・・」

普通、女性は用を足す時、水を流して音を消す。男性には馴染みはないだろうがエコのため、流水温が流れる「音姫」なる装置もあるくらいだ。

それほどおしっこやうんちが水面に衝突する際の音が漏れるのを恥じる。

隣の個室に誰か入っているのがわかっているならなおのことだ。

ほとばしる音を隠そうとしないのはよっぽど漏れそうだったのだと思った。

その後、出る気配が全くないのは恥ずかしいのだと思った。

互いに個室を出て顔を合わせたらおしっこの音を聞かれた相手も恥ずかしかろうと思い、熟考を切り上げて出たらお察しの通り隣は空だった。

真昼間だったので異常な経験の割には全然怖くなかった。

戻って同僚に伝えても「またまたー」と本気にされなかった。

色々な想像をかきたてるのは、そこが病院の研究棟だったからだ。

患者はいないから、あのユウレイは女医さんに違いない。亡くなった女医さんの最期の思念は

「おしっこがしたい」だったのか?

それとも会議中漏れそうなのを我慢して耐えている女医さんの生霊か?

どちらにしてもマニアには垂涎ものの体験である。

怖い話投稿:ホラーテラー 主婦さん  

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