中編2
  • 表示切替
  • 使い方

『母の声』

これは私が小学4年生の時に体験した話になります。

滅多に体調を崩さない私が高熱を出しました。

丈夫だけが取り柄の私の発熱に、母はとても心配し、仕事を休み看病をしてくれました。

皆が学校に行っているのに私は布団の中。教育テレビを見たり、漫画本を見たり。

それに加え、母からのアイスや果物の差し入れ… まさに、天国そのものです。

母もマメに部屋に様子を伺いに来ては『大丈夫?』とか『漫画なんて読んでないで早く寝なさい』なんて言っていました。

そんな状態で1日が過ぎ、夜になり、寝る前に体温を計りました。

熱は下がっていなかったようで、『もしこのまま下がらなければ、病院にくから、明日もまた学校はお休みだね。おやすみ。』と母は言い、私の部屋から出ていきました。

熱があるだけで、体力は有り余っている私。簡単には寝付けませんでした。暇潰しにテレビを見ていましたが飽きてしまい、漫画本を読むことにしました。

すると足音が聞こえます。

直感的に母が様子を見に来たと思い、電気を消し、枕の下に漫画本を見開きのまま隠し、寝たふりをしました。

『○○(私の名前)』

母が私の名前を呼びました。

けれど、寝たふりをしているので返事はしませんでした。

『○○(私の名前)』

母がまた名前を呼ぶので、私は寝ぼけた顔をして顔を上げました。

何故か母は部屋の片隅で手招きしていました。私は不思議とも何も思わず、自然に起き上がり、手招きする母の元へゆっくり歩み寄ります。

母と私の距離は3メートルも無いのに何故かなかなか辿り着けません。

私の歩みが遅いのか?なかなか辿り着かない私に母は苛立ち始めたのか…『早く!』と怒鳴ったように聞こえました。

それと同時に… いや、『早く!』と被さるように、母の声が聞こえました…

『ダメッ!』

母の声がふたつ…?!

はっ!とし、もうひとつの母の声がしたした方を振り返ると、母の姿はなく、そこには寝ている私の姿だけがありました…。

また、母の声がします。

私の目に母の顔と体温計が映ります。『おはよう。熱、計ってみて』どうやら私は寝ていたみたいです。熱もすっかり下がっていました。

『熱、下がっているから学校には行けそうだね。』と母。私はガッカリしつつも頷きました。そして、何気なく枕の下に手を入れると漫画本が見開きのまま入っていました。

母は昨晩、私の部屋には来ていないそうです。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
21500
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ