「幽霊に足が無い理由を知ってるかい?」
駅のベンチに座っていたら、隣りから男がこうしゃべりかけてきた。
俺は見ず知らずの人と話をするのはあまり好きじゃない。
男の問い掛けを無視していたが、男はそれに構わず喋り続ける。
「なあ…幽霊に足が無い理由を知ってるかい?」
うっとうしい男だ…
俺はベンチから立ち上がり立ち去ろうとすると、男は慌てた声で言った。
「おい、ちょっと待てよ。話だけでも聞いていけよ。
あのな、幽霊に足が無い理由ってのはな、それは人間が作り上げる恐怖の心なんだ。
ある人は幽霊に足が無いように見える。
ある人には目が無いように見える。
またある人には手が伸びてみえたり…
まあ人の恐怖によって見え方が違うんだよ…
でも…まあ…
例外もあるんだ…
死んだ時に本当に足やら手が無くなってしまったんならよ、幽霊になってもないままだわな…」
俺は、訳の分からない話をしている男を振り返った。
するとそこには、胴体から下がない男が、ふわふわと宙に浮いていた…
胴体だけの男は笑いながら言った。
「わははは、俺が胴体だけに見えるだろ!
でもこれはお前の恐怖心かじゃないぜ。
本当に無くなったんだ…
そこのホームから電車に飛び込んだ時によ…」
俺は恐怖のあまり足がすくんで動けなくなった。
そんな俺に男は笑いながら言った。
「しかし…
やっと見つかったぜ、俺の下半身。」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話