短編2
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気配

僕は別に幽霊を信じたりしないし、自分に霊感があるなんで思った事も無い。

時たま感じる『気配』についても、ただの気のせいだと思っている。

いや、そう信じたい。

気配を感じたのは覚えている限り、小学二年生の時だった。

当時身体の弱かった僕は学校に行かないで家にいたのだが、家では常に『気配』を感じていた。

痛烈に背中を寒気が襲うのだ。今も続いているそれは、基本的に階段を降りる時に感じる。

しかも必ず二階から...

身体が弱くて、手術するまでは熱を出してうなされる事も少なくなかったので、きっとその時に見た夢なんだとずっと信じてるのだけど

たまに見える。いや、感じる。

二階の廊下の奥から、階段を降りる僕を見つめる『何か』を...

記憶にあるそれの姿は、僕にとってはトラウマであり、思い出したくも無い。

高校生の時に、この話を軽い感じで家族に打ち明けた事がある。

その時に祖父と母に聞かされたのだが、三歳だか五歳だかの時に、死んだはずのひい爺さんと遊んでいると言って、仏壇のある部屋で遊んでいたらしい。

「まぁ小さい時は霊感があるなんて言うからなー」と父が茶化した風に言ったら、婆さんが急に思い出した話を聞いて、僕は凍り付いた。

僕が小さい時泣きやまないと、二階に連れて行って静かにしていた、と。

二階に連れて行くと、僕は天井の隅を直視して固まり

「モォーモォーがいるー」と言っていたらしい。

「モォーモォーっていうから牛かと思って聞いたら、蜘蛛だって言うんだよ。あれはなんだったんだろうねぇ」

小さい時には見えていた?いや、きっと想像だ

僕は今でも、小さい時熱にうなされて見た幻覚だろうと思い込んでいる。

そう、いつも感じるこの『気配』も、きっと僕の気のせいなんだ、と

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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