中編7
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封石の祠

何年か前、私の友人Cが死んだ。

葬式に、学校の皆が行った。

そいつの顔は見せてもらえなかった。

理由はなんとなく分かっていた。

皆が泣いて別れを惜しんでいる中、

私と、友人のAとBはそいつを、そいつの死体をただ、じっと見つめていた。

震えていた、恐怖していた。

あの日のことを、私達、生き残った3人は心から後悔した。

私達は、当時大学生。

私と、AとB、それとC。

私達4人は中学の時からの知り合いで、仲が良かった。

ある日、4人でBの家に集まった。

その日は、みんなバイトが休みで久しぶりに集まることが出来たので、結構話が盛り上がった。

その時、Cがあることを言い出した。

C「この前、バイト先の先輩に聞いたんだけどよ、この辺の山のふもと辺りって、妙に不自然な祠があるだろ。

しかも、周りには立ち入り禁止のテープが張ってあるし、

だからよ、その先輩が調べたんだって!

それがなんなのか。

とりあえず、先輩ん家から一番近い山に行っってきたんだって。」

Cの言うとおり、この辺の山のふもとには、変な祠がある。

それが何なのかは、わからなかったが。

私「なんかあったのか?」

C「な~んにも!薄汚い祠と、その中にコケ生えまくりの石みたいのが置いてあっただけなんだってさ。

で、先輩がそれを持ち帰ってきて、コケを全部はらい落としてみてんだって!」

B「お前の先輩、馬鹿じゃねぇの!?

何もって帰ってきてんだよ!」

C「まぁ聞けって! それでコケをはらい落としたら、石に何か書いてあったんだったってよ」

そう言うとCは自分のバックをあさり始めた。

C「これなんだけどさ・・・」

我々は仰天した。

Cはあろうことか、その石を持ってきていたのだ。

A「うわっ!お前何もってきてんだよ!!」

B「馬鹿だろ!お前も!!」

C「なにびびってんだよ。

ほらここ! 何か書いてあんだろ?」

確かに、何か書いてあるようだったが、かすれていてよく読めない。

私「なんて書いてあんだよ?」

C「先輩の話では、読めるとこだけ解読すると{二の点〇〇のみ〇こ}って書いてあるらしいぜ」

・・・・・・・・。

A「意味わかんねぇな」

B「もういいから、さっさと、そんなもん捨てろ!!」

C「そうはいかねぇんだよ。

先輩に、これもとの場所に返してくるように頼まれてさ。

これから付き合ってくんね?」

私「はぁ!? ふざけんなよ」

A「行くわけねぇだろ! 絶対やべぇってそんなとこ!」

B「お前の問題だろ。お前だけで行ってこいよ」

C「そう言わずにさぁ、頼むよ!」

嫌だと言う私達に、Cは何度も頼み込んできた。

C「なぁ?頼むよ!」

我々「・・・・・・しょうがねぇなあ」

Cのしつこさに我々は、仕方なく了承をした。

それから皆で車に乗り、その祠がある山に向かった。

山に着くと、すぐに祠があった。

立ち入り禁止のテープは、Cの先輩が入ったからなのか、少しゆるんでいるように見えた。

C「じゃあ、戻してこようぜ」

B「お前一人で行って来いよ、俺らここで待ってるから」

C「マジかよ!?来てくれよ一緒に!!」

またもやCは頼み込んできた。

こうなるとCは止められない。

A「・・・・・まぁいいか、戻してくるだけだし。」

私・B「ったく!」

C「おぉ!心の友よ!!」

私「本当に調子のいい奴だな・・・」

C「へへっ」

そう言うと我々は、立ち入り禁止のテープの中に入っていった。

祠の前に立ち、我々はCに例の物を、という視線を送った。

Cはバックを開け、石を取り出した。

これでよし。

Cは祠に石を置き、そう言うと、「帰ろうか」と私達に言った。

無言で頷き、私達は車に向かった。

立ち入り禁止のテープをくぐり、車に乗り込もうとした時、

Cが、祠の前で立ち止まってるのが見えた。

私「どうかしたのか?」

A「早く帰るぞ、もう遅くなっちまった」

Cが、口をパクパクさせているのが分かった。

私「何してんだよ? 早く来いって!」

Cは口をパクパクさせている。

何かを言っているようだった。

私とAは顔を見合わせ、Cに近付き、何を言っているのか聞こうとした。

A「何やってるんだよ?

ふざけてんのか?」

するとCの声がかすかに聞こえ始めた。

C「う・・け・い・・・るし・・・・」

まだ、よく聞こえなかったので、再び立ち入り禁止のテープをくぐろうとしたとき、突然Bに肩をつかまれ止められた。

Bは尋常じゃない顔つきで私達を見つめ、こう言った。

B「今入ったら、連れて行かれるぞ!お前ら!!」

いきなりの言葉で何のことだか分からない私達を引っ張り、Bは私達を車に連れ戻した。

私「一体何なんだよ!?」

A「なんかあったのか?」

するとBは

B「お前ら、あれが見えないのかよ!?」

その言葉と同時に、Cがものすごい声で悲鳴を上げた。

C「うぎゃああぁああ!!!」

Cはその場に倒れこんだ。

Bは車から出て、辺りをしばらく見回した後、立ち入り禁止のテープをくぐり、すごい速さでCを担ぎ、車に戻ってきた。

B「急いで病院に向かう」

そう言うと、Bは車を急発進させ、荒々しい運転で病院に向かった。

Cの顔は見ることの出来ないくらい険しい顔つきだった。

死んでいるんじゃないのかと思っては度だ。

車の中で、Bに話しかけたが無言。

時折、バックミラーを見ては「よし・・・きてない」

そんなことを言っていた。

しばらくして病院に着いた。

事情を説明し急いで診てもらった。

待合室で、待っている時にBが、やっと口を聞いてくれた。

私「なぁB、何があったんだ?」

するとBは

B「Cの周りに黒いモヤが見えたんだ。

それの中に顔がたくさんあって、そいつらが手を伸ばしてCを掴んでた。

祠の前に女が立ってて、お前らが入って来そうになったとき、嬉しそうに笑ってやがった。

俺が止めに入ったら、どこかに消えちまったけどな。」

A「・・・なんだよそれ。」

Bの話は私達を恐怖におとしいれた。

どうしても、あのままテープの中に入ってしまったときの事を想像させられたからだ。

B「お前らを車に連れ戻して、Cが倒れたとき、そのたくさんの手が、Cから離れていったのが分かった。

周りを見ても、何も無かったからC連れて来たんだが・・・」

そう言いかけたとき、突然Bの様子が変わった。

目を見開き、何かを目で追っていた。

体からはすごい汗、そして振るえ・・・

B「なんで!?あの時は憑いて来ていなかったのに!!」

Bはパニック状態だった。

何とか落ち着かせ、何を見たのか聞いてみた。

するとBは

B「あの女が・・・あの女が憑いてきた。

さっき、Cの病室に入っていったから、多分Cについてきたんだと思う・・・」

私「それって・・・!」

それからしばらく、私達は口を聞けなかった。

Cの事、Bが言う女の事、もう頭の中がゴチャゴチャだった。

どれくらい立っただろう。

医者がやって来た。

医者「今日はもう、家に帰りなさい。

あの子の親族にはここの病院にいること、連絡しといてくれるかな。」

私「わかりました。」

そういい、病院から出て、車に乗り、とりあえずBの家に戻ることにした。

携帯で、Cの親に病院の事を説明した。

その途中、Bが言った。

B「多分、もう助からない・・・」

しばらくたち、Cは死んだ。

あの日の夜、突然叫びだして、そのまま息を引き取ったんだと言う。

なんか、Cを見捨てたみたいで、妙に罪悪感が残った。

その後、役場や資料館で、その祠の事を調べた。

何度も、役場にその祠の事を聞いていたら、歴史関係の部署で働いている一人のおじさんが出てきた。

その祠のせいで友達が死んだこと、その祠で見たものの事を全部話した。

すると、そのおじさんが話してくれた。

「あの祠は、昔、処刑場があった場所に続く道を塞ぐため、それと封印的なもののために、50年前ほど前につくられたんだ。

祠は全部で五つ、それぞれ、山の周囲に作られていて、そこで殺された者を供養する意味でもたてられてるんだ。」

B「祠の中に石が入っていて、何か書いてあったんですが・・・」

だが、おじさんはそのことまで正確には知らなかった。

ただ、

おじさん「きっとその石は、そこの邪念的なものを封じるために置かれたものなんだろう。

それを、君達の友達がもってきてしまった・・・」

B「友達の先輩です」

Bがそう付け足した。

おじさんは、失礼と言うようなそぶりを見せ、話を続けた

おじさん「おそらく、それででしょうな。

一度、その場を離れてしまった石は効力が薄れてしまって、それで君の言う女が・・・」

そこまで言った時、Bがもういいですと、その場から去ってしまった。

私達はおじさんにお礼をいい、Bを追った。

Bは何も話さず、ただ泣いていた。

きっと、あの病院で女がCに何かしたのだろう。

そうでなくては、「もう、助からない」などと言った言葉は出てこない。

それから、少しして、葬式が行われた。

表向きは病死という事になっていた。

親族には、本当のことを話した。

Cの母はひどく泣いていた。

私達も泣いた。

今、あの祠がどうなっているのかは分からない。

だが、今でも恐怖していることがある。

ここからはBの話。

あの女は病院で最後にこんな言葉をBに吐き捨てていたらしい。

「この子、ちょうだいね」と・・・・

怖い話投稿:ホラーテラー ネギさん  

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