友人から聞いた話です。
あるマンションに、体の弱い女の子が母親と二人で住んでいました。
母親は娘を溺愛していましたが、娘がもう長くないと医師から宣告され、途方にくれていました。
どうすれば娘が助かるだろう・・・
日々そればかり考えて過ごしました。
そんなある日、娘が奇妙なことを言いました。
「お父さんが落ちちゃった」
彼女の父親とは数年前に離婚しており、その行方を母親は知りませんでした。
娘の言葉の意味も分かりません。
「どこから落ちちゃったの?」
「飛行機に乗っててね、みんな海に落ちちゃったの」
数日後、彼の乗った飛行機が海に墜落し、彼が死亡したことを知りました。
彼が死んだのは、娘がああ言った翌日でした。
それからしばらくの間、娘の体調は良く、医師から宣告されていた余命を過ぎてもなんともありませんでした。
娘は、父親の残りの寿命を生きている。
母親はそう思いました。
しかし、何年か経って再び娘の体調が崩れました。
今度こそもうだめだろうと医師から告げられ、母親は必死に「もう一度奇跡を」と願いました。
その願いは叶いました。
娘が母親に言ったのです。
「お母さん、車に轢かれちゃうよ」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話