中編5
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残業

今の会社に勤めてもう17年になる。

ここは所謂曰くつき物件ビル。そんな事は俺は信じないんだが極度の怖がり(笑)そんなのもあって幼少期から親父にやりたくも無い空手を3歳からやらされていた。空手をやった所で怖がりがなくなる訳でもなく、ただ家が道場を経営していたから強制的にだと今は思うんだが・・

さっきも言った通り信じないのに怖いという性格。簡潔に言えばビビリな訳だ。

前回の投稿でも霊の類は信じなと言ったが、

何故かというと、職種が科学的に分析し、それを元にクライアントへ結果報告といった内容の業種だからだ。

その日は来週までに報告書をあげないといけない為、部下二人と統括本部長と4人で残業をしていた。

夜1時を回った辺りで部長が、

「ここいらで休憩いれっか?」

て事になり、部下一人と部長で弁当を買いに行った。

俺と部下で帰ってくるまで、喫煙室でタバコを吸いながら待つ事に。自販機でコーヒーを買い、喫煙室に向かう途中で、

コツンコツンと革靴で歩く音。

「聞こえました?」と部下が言ったので、

「夜間警備員だろ?ここのビル自体大手企業ばっか入ってるから」

と、言うと部下が

「センサーとかセキュリティ機器は付いてなんですか?」

もっともな話だ。

正面玄関や裏口、2階までの窓には防犯センサーは付いてるが、3階から上の階は警備員が巡回している。

弊社が入ってるフロアは15階。エレベータから一番奥の部屋。

喫煙室は給湯室横。

明らかにこっちに向かって歩いてきている。

「きっと他社でも残業している人間が居て、タバコ吸いにくるんだろ?じゃなかったらさっき言ったとおり警備員だよ」

なんて言ってると、

足音は喫煙室の前で足は止まり、ガチャっとゆっくりドアが開いた。部下の生唾を飲む音が妙にハッキリ聞こえる。

「ご苦労様です。残業ですね?お変わりはありませんか?」

「大丈夫ですよー」というと部下が間髪入れず、

「脅かさないで下さいよー警備員さん」

「あーそれは申し訳ない。何かありましたら、警備室へ。残ってらっしゃるのは、〇〇さん(企業名)とこだけですから」と、笑みを浮かべながら会釈して警備に戻っていった。

それから10分程して部長達が戻ってきた。

すると部長達は変な事を口走った。

「今さ下で、エレベータから降りてきた、スーツ着た超美人な女とすれ違ったよー芸能人みたいな綺麗な顔で、スタイルも抜群だったよー」って。

俺と部下は顔を見合わせた。

部下が続けざまに言う

「部長何言ってんすか?ここのビルで残ってんのは、うちの会社のここにいる4人と警備員だけですよ」

部長がこう俺達に言葉を返す。

「その警備員ってどんな人だ?」

「いつもの〇〇さんですよ」

部長はこう言った。

「〇〇さんは一昨日から脳梗塞で倒れ、病院で昏睡状態なんだよ。急な事の為に代わりの警備員は明日からなんだよ」

二人して無言になった。

「生死を彷徨いつつも魂は仕事を真っ当しにきたんだろう」

部長が言う。

なんだか寂しかった。

俺が新人の頃からここを警備していたからだ。

ふと思った・・

部長達が見た女は?

部長達もそう思ったらしい。

すると、カツンコツンカツンコツン

と、ハイヒールぽい足音。

それが一定のリズムではなくて、疎らな感じで聞こえる。

カツン・・コカカ・・コツ・・カカカ・・カツンというような異音。

千鳥足的な感じ。

その場の全員聞いており、部長は確かめると言って出て行きました

「部長辞めましょう」

俺と部下が言うがそれも聞かない。

そして時間にしたらほんの数秒・・部長が

「おい!ここから出るぞ今日は!早く」

普段全く怒鳴らない部長が怒鳴った。

みんな慌ててエレベータに駆け寄る。

「どうしたんですか?」と聞くと

「ナイフか何かで引き裂かれた様の感じのスーツ着て、血だらけの女がヨタヨタしながらこっちに向かって来てる」

またこの手の話か・・

正直そう思ってはいるが怖いwww

やはり根はビビリだ(笑)

エレベータで来て間もないのに、俺ら以外誰も居ないのに1階まで降りている・・・

なんで?どうして?

取りあえずボタンを無意味に連打で押す。

その間に足音は確実に大きくなってくる。

そう近づいて来ている。

やっとエレベータが着き慌てて乗り込んでドアを閉めた時、バーーンとドアに何かがぶつかった。きっとあの女だ。エレベータが下に向かって下りる・・

そして何故か3階で停まった。そしてドアが開く・・・

「え?」1階を押しても動かない・・

「階段で行こう」

部長の言う事も分かるが、ここで降りるのか?

心拍数が上がる。

が、何事もなく外まで出れた。

皆汗だくだ。

すると玄関前に一人女が立っている。

その女は俺達にこう言った。

「チッ今年は駄目だったか」

そして消えていった。

俺の足元には懐中電灯が一つ転がっていた。

拾いあげるとそれは、

いつもあの警備員さんの持ってるもの。

どうして分かるかというと、娘さんのプリクラが貼ってある私物の懐中電灯。いつも娘さんを自慢するのに俺に見せてたプリクラ。

助けてくれたのかな?

警備員さんは結局息を引き取ったが、

その女が出た日は、4年前にここのビルで自ら命を絶った女性が亡くなった日と同じとの事。その女が亡くなってから毎年誰かが同じ日にそこで亡くなっている。

他社が残業しない理由の一つだという。

程なくして、俺は建設部に移動して横浜に行った訳だが、また今年付けで今の部署に移動になり、部長になったんだが、役職つくと残業している人間がいると帰れないのが辛い。

つまり今日残業なんです。あの経験が無ければ良かったんですが・・

信じない割には、何十回と経験している俺。

怖がりな俺がなぜ経験するのか・・・どうせなら霊感といものがある人間に行けばいいのに。

ちなみにだが昨年、あの女性が出た日と同じ日に、当時のあの部長は亡くなりました。喫煙室で。

長くてすまん毎回。

信じる人信じない人様々だと思うけど、

人の念とか多々あるけど、一番怖いのは生きてる人間だろうね。

次回は生霊へ続く。

友人の話だけどね。

長々とありがとうでした。

怖い話投稿:ホラーテラー 北の住人さん  

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