夜、会社帰りに近所の公園を通りかかったときのこと。
「ミズヲクダサイ・・・」
いかにも人でなさそうなものがよたよたと近づいてきました。
私は「ヤバイ!」と思って全速力で家まで帰りました。
その日は疲れていたこともあり、気味が悪いながらもあっさりと眠りにつきました。
すると夢の中で、またあの人に会ってしまったのです。
真っ暗な空間に、私とその人だけ。
「ミズヲクダサイ・・・」
私は声を出すことも、動くこともできず、近づいてくるそれを見ているだけでした。
それは女性でした。
ほぼ全裸で、赤くただれた皮膚は今にも剥がれ落ちそうで、ぼさぼさの長い髪を振り乱していました。
「ミズヲ・・・・・・」
そこで目が覚めました。
当然、汗びっしょりになっていました。
「なんなのよ」
苛立ちのあまり傍にあった時計に枕を投げつけたとき、気付きました。
時刻は8月7日午前0時。
原爆投下の翌日でした。
なぜ私は、あの人に水を渡さなかったのか。
もう遅いですが、後悔しています。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話