中編4
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グーニーズの森

皆さん、昔、グーニーズという映画があったのを、

ご存知ですか?

好奇心大勢な少年達が、 冒険を繰り広げる的な…

当時、小学生だった俺達は、その映画に、

とても影響をうけた。

そして、近所にある森を グーニーズの森と、勝手に 命名し、たけし、健ちゃん、俺の3人で、その森に足を踏み入れた…。

住宅地の傍にあるということもあって、広さは大してなかったと思う。

それを、知っていた俺達は、迷うことなど、頭の片隅にもなくズンズンと 奥へ進んでいった。

健ちゃん

『案外、広いんだな…そろそろ、どっかに出てもいいころだよなぁ…』

『うん…なるべく真っ直ぐ進んだつもりだったけど…おかしいな…』

その時 近くの茂みから 何かが、動く気配がした。

ガサッ…ガサガサ…………

出口が見つからず、不安だった俺達は、顔を見合わせ、一斉に走り出した。

たけし

『いっ……!』

振り替えると、たけしが 木の根につまづき、

転倒して、うずくまっていた。

『大丈夫か!たけし!』

駆け寄ろうとした俺達の足が止まった。

たけしの後ろに、真っ黒の影が見えた…

背丈は子供程で、真っ黒な身体に、能面のような顔のそいつは、

うずくまる、たけしの足を掴み、凄まじい

スピードで、森の奥へと 引きずっていった…

俺と健ちゃんは、しばらく放心状態のまま立ち尽くしていたが、

健ちゃんが、口を開いた。

『駄目だ……あれは人じゃない…俺達じゃダメだ…なぁ…!?そうだろ!?見捨てる訳じゃない…!そうだよな……!?』

『あぁ……人間じゃない…大人を呼びに行こう!』

俺達は、がむしゃらに、森を走り、出口を探した。狭い森のはずなのに

中々、出口が見つからず、

外に出られた時には、

夜の10時をまわっていた。

俺達が、たけしの両親に 事情を説明すると、

警察や消防が捜索に入った。

捜索から2日経ってもたけしは見つからなかった。 警察に何度も話しをきかれたが、

信じてはもらえなかった。

行方不明になってから5日が経ち、諦めかけていたころ、たけしが、ボロボロの姿で、町を歩いているところを発見された。

しかし、以前のたけしではなかった。

目はどこか、遠くを見つめ、口からは、涎をだらしなく鳴らしていた。

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『何があった!?』

と訪ねても、

『しゃぁしゃぁ(?)……しゃぁしゃぁ……』

と、意味の解らないことを繰り返すだけ。

精神科に通ったが、一向に回復せず、お祓いにも行ったが、

『これは、私共でも無理です…命があっただけでもよかったと思うしか…』と、 言われるばかりだったそう。

俺と健ちゃんは、小学校を卒業してからも、

あの時、助けられなかった罪の意識から、

たびたび たけしの見舞いに訪れた。

少しずつではあったが、 多少の会話ができるようになってきたからだ。

とは言っても、会話のキャチボールは出来ない程度。

それから7年が過ぎ、

あまり、会うことも亡くなった健ちゃんと久しぶりに、会うことになった。

健ちゃん

『お前、最近たけしにあったか…?』

『もう5年は会ってないな…両親の顔見るのも辛くてさ…』

健ちゃん

『俺さぁ…この前、町で偶然たけしに会ったんだよ……』

『一人で、町を歩ける位に回復したのか…!?』

健ちゃん

『うん…そうなんだが…それがさ…』

健ちゃんの話しをまとめるとこうだ。

健ちゃんが、仕事を終え 帰宅途中に町で、たけしを見かけた。

健ちゃんが声をかけると、以前とは違い、会話も成り立つようになっていたらしい。あの時助けられなかった事を謝ろうと思い、

『あの時は助けられなくて、悪かった…俺も、あいつも、怖くて……ほんとごめんな…!』

そう言うと、たけしは

ニマ~っと笑みをうかべ

『ナンデ、アヤマルノ…?キミジャ、ダメダッタンダ…ヒロシ(俺)デモダメダッタンダ…』

と、また訳の解らない事を言い出した。

健ちゃんは、意味を聞こうとが、それをやめ、

軽く挨拶し、その場を立ち去った。

なぜなら、感情の無い笑みを浮かべ

『しゃぁしゃぁしゃぁ…しゃぁしゃぁ……』

と、またあの意味の解らない言葉を繰り返していたからだ。

健ちゃんは言っていた。

『確かにあれは、たけしだった…。たけしだけど、 たけしじゃかった…』

と…。

それ以来、たけしの話しはお互いしなくなった。 あの森も、未だに残っている。

ホラーテラーを見ていて 思ったが、 ヤマノケなどの部類の物に、遭遇したのだろうか…?

知ってる人いたら教えてください。

怖い話投稿:ホラーテラー ℃らみちゃんさん 

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