短編2
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幼少の頃、

夏休みになると、必ず

祖母の家に遊びに行っていた。

祖母は昔から、俺の相談相手であり、よき理解者でした。

いつもは一人で、電車を乗り継ぎ遊びに行っていたが、

その年の夏は、

祖母が車で3時間かけて 迎えにきてくれた。

家を出て、祖母の家に向かう頃には、 日も落ちていた。

暫く走り、いつしか俺は助手席で寝りについていたが、車の激しい揺れと 車内に響く、ゴンッ!

ゴンッ!という音で

目を覚ました。

運転席の祖母を見ると、 ハンドルをグッと握りしめ、何か恐ろしい物を見たような顔をしていた。

俺が、起きた事に気がついた祖母は、

『匿名係長!絶対後ろ見ちゃあいかんぞ!』

と、言い ブツブツとお経をとなえている。

見るなと言われると

とても気になる。

俺は、振り返った。

人の頭ほどの人魂がいた。

いたというよりは、

走る車に並走して、

ゴンッ!ゴンッ!と

車に体当たりをしてくる。

『なんだよあれ!?』

『大丈夫!大丈夫だから目をつむっとけ!』

『なんだ人魂かよ…』

って思われるだろうが、 幼少の俺には、十分恐ろしかった。

しかも、その場所が、

普段、祖母から、

『あすこは、物怪がでる…』

と、教えられていた、

鹿児島の、い○き峠(記憶曖昧…)だったからだ。

祖母は、恐ろしかったのか、峠を抜けた一件の民家に逃げ込んだ。

慌てて 扉を叩くと、

おじさんが出てきて、

(…?)な顔をしている。

祖母が事情を説明すると、

『はぁ~…狸にでも化かされたんだろう…』

と言って、奥から猟銃を取り出してきた。

『ちょっと見てくるから、あんたらは、中で待ってなさい。お~い!こんしらに、茶をだしてくれんか~!』

と言うと、猟銃片手に

自転車で、峠に向かった。

俺と祖母は、お言葉に甘え、奥でお茶と、茶菓子を頂いて、おじさんの帰りを待った。

一時間位すると、

家の扉が開き、激しく息を切らしたおじさんが

入ってきた。

『母ちゃん!薬!消毒薬持ってきてくれ!!』

と言い、玄関に膝をついた。

慌てて駆け寄り、

訪ねようとすると、

おじさんは、俺達に

見ろ!っと言った具合に 背中を見せた。

おじさんの背中は、

獣の爪のような物で

ズタズタに衣服が引き裂かれ、 血が滲んでいた…

もう少し続く…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名係長さん  

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