中編4
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合宿でのある夜

これは僕が大学4回生のころ、軽音楽部の合宿中に体験した出来事です。

先日コメントしたように、ありのままを脚色なしにそのまま書きます。

というのも、これは一体どういうことだったのか、その筋に詳しい人に説明してもらいたいからです。

では、はじまりはじまり~。

僕の大学にはクラブ合宿のためのセミナーハウスというボロボロの建物がありました。(現在は取り壊されてます)

なんでも、病院として使っていた建物をそのまま使っているということで、キャンパス内でのそのセミナーハウスの存在はどこか異質でした。

2階建てのそのセミナーハウスは1階が合宿用に開放されていましたが、2階に通じる階段への扉は頑丈に鍵がかけられてあり、2階に上がるためにはセミナーハウスの外に出て、むりやり小窓から侵入するしかありません。

実は僕は一度、何人かでこの窓から2階に侵入したことがあるのですが、本当に病院で使われているようなベッドや棚が各部屋にあり(確か3~4部屋ありました)ホコリまみれで、ビンや書類?などが荒れ放題に散乱している状態でした。

「なんでこんな状態のままほっとくねん?」

当時はみんな言ってました。

で、ある合宿の夜、たしか最終日?

セミナーハウスの1階、5~6部屋あったうちの一番大きい部屋に12~3人ほどが集まり、怪談話をしようぜ!ということになりました。

時間は午前0時過ぎ、電気を消してノリノリでスタートしました。

ネタを持っているヤツが順番に話していくというやり方でなかなか盛り上がります。

で、一時間ぐらい経過したころでしょうか?

「カンッ!」

と外から窓を叩く音が聞こえました。

一瞬、皆が沈黙します。

「なになに、今の音?」

「あー、びっくりした」

「いやいや、なんでもないやろ」

ということで、また怪談話が再開されました。

先ほどのハプニングも手伝ってか、怪談大会はさらに盛り上がります。

と、ここで部屋のドアから向かって右奥に座っていた後輩の一人が立ち上がり場所を移動しました。

「どうした?」

という問いに

「いや、なんかあそこ、気味悪いッス。」

と指さして答える後輩。

すると、ここで霊感が強いという新入生が口を開きます

「あ、そこ、やばいっすね。」

実はこの新入生、霊感がすごく強いということでクラブ内で少し話題になってたんですね。

今回のこの怪談大会も、この新入生がいたから企画されたようなものだったんです。

と、そんな矢先、また、

「カンカンッ!」

と今度は二回、また外から窓を叩く音が、、

そして一瞬の沈黙の後、

「うわ、びっくりした!」

「ヤバイんちゃうん、これ!」

などと、怪談大会はまたさらに盛り上がっていきます。

すると、その霊感の強い彼が、

「あ、話の途中だったんで言いそびれましたけどさっき、その布団の中からなにか黒いものが出ていきましたよ、ヤバイっすね。」

という一言、

「え、それ何時ぐらい?」

という質問に、

「えーと、2時30分ぐらいです」

と、腕時計を見ながら彼。

そこで腕時計を持っている何人かが確認、

その部屋には時計はなかったので、僕も手元に置いてあった目覚まし時計で確認しました。

「ただ今、午前2時40分、ということは10分ぐらい前か、、」

それから、その話の勢いも手伝ってさらに怪談大会は盛り上がっていきます。いっこうに終わる気配がありません。

あーこりゃもうこのまま朝までコースやな。

なんてことを考えながら窓を見てみるともう白々と夜が明けてきていました。

「明日は部室で寝てよっと。」

と、その時、

バンッ!!

と扉が勢いよく開ける音。

「何してるんすか?」

と、怪談大会に参加せず、ずっと別の部屋でいた後輩がいきなり入ってきました。

電気を付けられ明るくなった怪談部屋、せっかくの雰囲気が台無しです。

「あー、お前、せっかく盛り上がっとったのに、」

「あーあ」

なんて言いながら、みんなしらけてしまいました。

「ところで今、何時?」

誰かがなんとなく発したこの言葉が、そこにいる全員を呆然とさせました。

「午前2時50分!」

こんなことは絶対ありえない!

怪談話の途中、僕は手元の時計で時間を確認しているし、それからかなり長い間、怪談話は続きました。

しかも確かに窓の外が明るくなっていくのを僕は見ました。

これはいったい何なんですか?

もしあの時、後輩が部屋に入ってこなかったらどうなってたんでしょう?

だれかもし解る人がいたら教えて下さい。

怖い話投稿:ホラーテラー さだんさん  

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