中編3
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母親がまだ大学生だった頃の不思議な体験。

当時まぁどこの大学生にも十分なお金があったとは思えないが、母親はそれでも彼女の時代には豪華だった六畳一間のアパートを借りて暮らしていた。

夜の、午前二時ごろだったという。母親は、右側の壁からするドンドンという音に目が覚めた。なにかなっと思って、電気をつけた母親は音のする壁に耳を傾けた。

・・・しばらく音を聞いていた母親だったが、一つおかしいことに気づいた。母親の部屋は二回の一番右はじにある。左側から隣人のプライベートうんぬんで音がするのは分かるが、ここから聞こえるのはどう考えてもおかしいのだ。だってとなりに部屋はないのだから。

誰かが、向こうからボールをぶつけてる?だがそれにしてはこの音は妙にねちっこい。ボールなどは一階投げてぶつけた時の音はドンと一瞬だけの音だが、この音はドンとなったあとにまだしばらく音が残るようにしばらくそれをつけた状態にしているみたいな、そんな感じの音なのだ。じかに壁にふれていると伝わってくる音の反動が、母親にそれを実感させた。

そう、深く考えているといよいよ怖くなった母親は、頭から毛布をかぶって、電気をつけたまま朝を迎えることにした。だがそうしている間にもその音はずっとなり続けた。

ドン・・・・ドン・・・・ドン・・・・・ドン・・・・。

正体不明の恐怖はゆっくりと、だけど確実に母親を飲み込みつつあった。しかもその音はしだいに自分の部屋の窓のほうへ近づいてくるような気さえしてくるのだ。

ドン・・・・ドン・・・・ドン・・・・。

音が止まった。次に叩くときは窓ガラスだろう。ガラスが割れるか、もしくはガラスを叩くバンという音が部屋に響くのだろう、母親がそう思案したときだった。

フッと部屋の電気が消えた。毛布越しからでもそれは分かった。その後すぐ窓ガラスではなく入り口の扉をドンドンドンドン!と叩く音が聞こえてきた。しだいにその音は部屋中に伝染し母親を中心としたあらゆる方向から壁、戸、窓をたたく音が聞こえてきた。

母親は恐怖と不安で、硬く目をつぶり、布団のなかでぶるぶると震えた。しかし、窓ガラスが割れるパリンという音が聞こえたとき、母親は唐突に意識を失った。

朝、母親は目を覚ました。まず生きていることに安堵すると、両目にクマという哀れな目つきで部屋中を見回した。・・・全体的には以上はない、だが窓ガラスは割れていた。それで、昨日のことが夢ではないと悟った母親は、一分でもここにいたくないと思い、荷物をまとめると、部屋を飛び出した。

とりあえず友達の部屋に泊めてもらおうと考えながら、アパートの階段を駆け下り、ふと自分の部屋に目をやったときだった。

母親はもっていた鞄を取り落とした。自分の部屋のあらゆる方向からいろんな形大きさの手形が押し付けられていた。まるで自分の部屋をそれだけで包み込んでしまいそう、そんな感じだった。

道行く人には見えていない。母親が、「自分には霊感的なものがあるのかぁ」そう実感した瞬間だった。

俺自身にはそこまでそのような力があるとは、思っていませんが、こうみのまわりで起こった話を聞かされると、どうも変に不安になりますね。

怖い話投稿:ホラーテラー メアさん  

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