私は刺されて間もなく視界がぼやけるのを感じた。外側から中心に向かって、闇が覆いかぶさってくるような感じ。不思議と痛みはなかったが、立っているのが困難で今にも吐きそうだった。
(もうだめだ…)
すぐ近くの人に助けを求めた。視界が真っ暗になる寸前。
「大丈夫ですか?!いま運びますからね。私の声聞こえますか?」
ちゃんと聞こえてた。うまく返事はできなかったけれど。目も見えなくて、なんだか声も出しづらいのに、まわりの音だけははっきりと耳に届いてた。
(死ぬときってこうなのかな…)
一瞬、頭をよぎる。
それからおよそ5分後。
保健室のベッドの上で嘘のように楽になっていた!
健康診断の採血のあと、初めて貧血になったときのことである。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話