短編2
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黒い子供

俺が15才の頃の話。

実話なんで、大したオチは無しで…

当時の俺は、毎晩のように金縛りにあっており、 正直うんざりしていた。 敏感な年頃も手伝ってか、 怖い物もたまに視ていた。

その日も、金縛りにあい、 寝汗と倦怠感で目を覚ました。

用を足そうと、部屋の引き戸を開けると、

目の前に真っ黒いモヤのような霧があった。

俺は、部屋も暗いし、起きたばかりで目が霞んでいるんだろうと思い、 目の前30cmにある、黒いモヤをボーッと見ていた。

確かに目は霞んでいたが…

目が段々、暗闇に慣れてくるにつれ、

目の前の黒い物が人の形をしている事に気がついた。

しかも、俺の目線の前に顔はなく、ちょうどヘソにあたる部分が、

顔の真ん前にある。

(……どんだけでかいんだ………!?)

寝起きの俺は、危険を感じ取る本能が鈍くなっていたのか、目線を上にやってしまった…

子供だった。

2m30cmほどある、黒い子供… しかも、二人いた。

二人とも髪は、坊っちゃん刈りで 顔も土色で、

目に白目はなく、

黒目だけ… 不幸中の幸いと言うべきが、

あまりのでかさに、

まだ互いの目線は

合っていなかった。

俺は、何故かソッと戸を閉めて、平静を装い、 布団の中に入った。

(慌てると、追っかけて来そうと考えたか…)

その後、戸を叩かれるなどのオチもなく、無事に朝を向かえた。

起きて、仕事の準備をしていた母に話そうと、

リビングに行くと、

母も不思議な体験をしたらしく、

『聞いて聞いて!』

と話しはじめた。

母が深夜に、ふと目が覚めると、窓の外一面が、 オレンジ色の光に包まれていたそうで、しばらく見ていると、

パアッ!っと 一層強い光を放ち、消えてしまったらしい…

『あれはきっとUFOね…』

その言葉を聞いて

俺は、自分の話しをするのをやめた。

話せば、きっと、

俺の見た 二人のばかでかい子供は、 宇宙人って事にされてしまい、

朝から、面倒臭い事になりそうな予感がした。

『UFOがこんな田舎に用はないだろう…』と言うと、

『いやっ…絶対UFOだった!』と、折れない母親…

尚更、あの話しはするまいと、母にその話しをすることはなかった。

あれ以来、あの子供は視ていない。

あれはなんだったんだろう…

まさかホントに宇宙人だったのか…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名係長DX さん  

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