三毛が跳び乗った先は畳の上でした。ダンボールなんかがたくさん積まれていて気が付かなかったのですがショールーム内に床から50cm程の高さに畳が敷かれた4畳程のスペースがあったのです。
そして畳上の三毛に懐中電灯を向けたつもりが違う物を映しました。
かなり年配の痩せ細ったお爺さんが胡座をかいて座っていました。
キセルを口にくわえ仁平のような服装で顔は無表情…。
ヒッと小さく悲鳴が漏れましたが、大声で叫ぶのは堪えました。もしかして店の主人か従業員かもしれないと思ったからです。
『あ、あの、お店の方ですか?』
『〇〇がっ、、ガ、ガードシステムのもっ、者ですが…』
震えながら何度か話かけましたが全く反応なしでこっちを向きもしません。
ちょっとヤバイかなと思いました(もしかしてお化け的な)
けどいきなり襲いかかってくる強盗よりはましだしこれだけハッキリ見えてるのなら幽霊と決めつけるのは早いと自分に言い聞かせました。
もしかしたら痴呆症の人かもしれないし、あるいは人形職人の親父さんかもしれない。職人とは寡黙なものだ(多分)とポジティブに考えました。
そうだ…取り敢えず電気を点けよう!そう思い
『ちょっと照明を点けて来ますね。』
と、相変わらず無表情ノーリアクションのお爺さんの反応を待たずに入り口まで引き返しました。
しかしスイッチらしき物が見当たりません。お爺さんの座ってる畳のスペースをぐるっと回って反対側にもある入り口の方にあるかもしれない。
そう思い反対側まで回ると照明のスイッチがあり躊躇なくスイッチを入れました。
パッと店内が光に満ちて恐怖心も少し消え、お爺さんの元へ戻りました。
お爺さん消えてました
どう考えてもこんな一瞬で消える事は出来ない…やっぱり幽霊だったのか ?かなり動揺しつつ、もし店と関係ない人だったら事件になるので店内を捜索しました。
6畳部屋も2階の部屋もトイレも全て見て周ったんですがお爺さんはどこにも居ません。
仕方なく店内の施錠を確認し電気も消して会社に戻る事にしました。
次で最後です
怖い話投稿:ホラーテラー 鴨つくねさん
作者怖話