目が覚めるといつもと同じ朝。
いつもと同じ自分の部屋。
アタマガイタイ……。
今日も嫌な日常が動き出す。
顔を洗い身支度をする。
朝食はいらない。
食べれる程、健康的じゃない。
誰もいない家につぶやく。
イッテキマス……。
いつもと同じ通学路。
いつもと同じ教室。
いつもと同じ席に座る。
耳障りな雑音がはいってくる。
アタマガイタイ……。
私はこの場所がキライだ。
何故かは分かっている。
イジメられてるからだ。
内容は単純にシカト。
私の存在はない。
1年続いている。
アタマガイタイ……。
もうこの場所にも飽きた。
ケジメをつけたい。
この場所に。
この世界に。
放課後暗くなるのを待つ。
4階の昔いた教室にいく。
イジメが始まった嫌いな場所。
時間はPM11:57。
明日になる前にサヨナラ。
窓を開け暗闇に落ちていく。
アタマガ……。
私は暗闇に溶けていく。
目が覚めるといつもと同じ朝。
いつもと同じ自分の部屋。
アタマガイタイ……。
健「…と、いう話があってね。」
俺「ホーホー。」
いきなり隣県の来たこともない学校の敷地に忍び込んで、こいつはいきなり何を言い出すんだ。
たしかに当てもなく、プラプラとドライブしてる時、「暇だな…どっか面白いトコ無いか?」と、言ったのは俺だ。
それで連れて来られた知らない学校に忍び込む時、ドキドキして楽しかったのも事実。
しかし校舎の片隅の暗がりで、小学校からのツレの『健』に、こんな話を聞かされるとは思っていなかった。
只今の時間はPM11:57。
ヤバいっ!怖いじゃないかっ!
正直、オカルト関係は嫌いじゃない。どっちかってーと好きな方だ。しかし、あまりにもいきなりで心の準備ができていない。
そして健に『怖がってるな…。』と、思われたくなかった俺はピリピリと背中に冷たいモノを感じながらも、平静を装うのに必死だった。
健「…『明日になる前にサヨナラ。』…最後の望みも叶わないまま、逝ったんだ。」
俺「へー。」
時刻はAM0:03。
健「…今、逝った。ホラ…康(俺)…ちょうどお前の立ってるトコ…。」
俺は思わず『ピョン』っとその場から飛び退いた。
ああ…怖い…。こんな場所で、こんな話を聞かされたら誰だって怖いはずだ。だから恥ずかしくない。
健「面白かったろ?じゃあ、帰ろうか。」
健は『ニヤリ』と憎らしい顔で笑い、ゆっくり立ち上がると、裏門の所に停めてある車に向かって歩き出した。
くそっ!くやしいっ!
なぜか分からないが負けた気分だ。だが内心ホッとしたというか、『嘘だったのか?』という安心感がこみ上げてきた。
よく考えれば…健の作り話だ。
だって、そうじゃないか!?話は完全に本人目線だ。本人しか知らない事が盛り込まれている。つまり本人に聞かない事には、この話は成り立たない。
短い時間でこの話をよく作ったな…健くん。そう思うと悔しいが、心地いい。せっかくだから最後まで付き合おうじゃないか。
俺「ところでこの話って、誰から聞いたんだ?」
健「…本人だよ。」
思った通りだ!
この話はここまでくる事で完成するんだ。
俺「やっぱりな…そう思ったよ。」
健「…信じてくれた?良かったよ。康なら分かってくれると思ったんだ。
…ソイツ…自分の存在をシカトされるのが嫌なんだよ。こんなんになっても…。」
…ちょっと待て。この話はコレで終わりだろ?まるで本当の本当に本人に聞いたような口振りじゃないか?
俺「なぁ…。」
健「ん?」
『まさか本当の話じゃないよな?』…俺は口から出掛かった言葉を飲み込んだ。
俺「今日は月がデカいなぁ。」
健「おお!ホントだねぇ。」
俺は月明かりの中、裏門まで中庭をゆっくり歩きながら、昔どっかで聞いたフレーズを思い出す。
『上を向いて歩こう…。』
じゃないと、俺達以外のもう1つの影をまた見てしまうから…。
怖い話投稿:ホラーテラー 八百草さん
作者怖話