中編5
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ある若者の悲劇

俺は哲雄。

29歳で、彼女いない歴=年齢だ。

見た目は完全にキモオタ…

それが何か?

今までオカンの下で甘い汁吸ってきたんだが、もうすぐ30歳だし、それをきっかけにさすがに自立しようかと思ってね。

今日も10年近く勤めてるコンビニのファミリーマットの仕事を終え、賃貸会社で物件を探す。

近くにあるアポマンショップでいい物件を探してもらう。

俺の条件としては、パソコンが使える環境、携帯もバリ3で安いやつなら桶。

「こちらはいかがですか?築82年木造で1DK、敷金、礼金無し、風呂、トイレ別、インターネット回線工事済み、二階建ての一階、毎月の家賃は2万5千円です。」

安すぎる…

住んでる地域の家賃相場は7〜8万なんだが、3万以下は超安い!

さっそく車で案内され、その物件へ下見に行く。

いかにもって感じの木造アパートだが、条件クリアしてれば見た目なんて関係ない。

部屋の中も見せてもらったがここに決めた!

店員に伝えると、

「ありがとうございます、

……実はこの物件は前の女性の方がこの部屋で自殺してしまった訳ありな物件なんですが…

それでも大丈夫でしょうか?」

何?!

だから安いのか…

まぁ俺は霊感なんてないし、問題ない。

それに夜中に女性の可愛い幽霊なんて出たら…

(´Д`)ハァハァ

よからぬ期待と妄想しつつ、店へ戻り契約書作成、こっちが用意する書類などの用意もあるし、契約完了はまた後日。

後日、契約完了し引っ越しも無事終了。

念願の1人暮らしがスタートした。

お気に入りのアニメのフィギュアの置く位置などに迷ったがレイアウトも完了。

本家の四年毎の開催とは違い、ほぼ毎夜開催の1人シコリンピックを誰の目も気にせずでき、のびのび過ごせるのが素晴らしい。

他人が怖いし、お隣さんの挨拶などできず、仕事以外は部屋に籠もり、ネットサーフィンの毎日。

掲示板で俺は別人と化す。

HN:真夜中の珍入者サン

「そういや、部屋入る時女が自殺した物件と聞いて、期待してたんだがまだ何もないな…」

HN:赤い水性のシャアサン

「へぇ〜、殺されるのは嫌だが、可愛いアニ声の幽霊なんてでたら…羨ましい…(゚д゚)」

赤い水性のシャアサンとは長い付き合いで、会ってはいないがもう親友みたいに何でも話せる仲だ。

他のヤツらとも色んな話題で語り、ネットとはいえ皆俺にとって仲間。

HN:赤い水性のシャアサン

「でも住み始めてから10日位?なのにまだ何もないなら、幽霊なんてでないかもな…悪霊がでるよりいいかw」

HN:真夜中の珍入者サン

「期待してるんだけどねぇ…ってか二階の住人の方が嫌だわ…

毎日夜でかい音量で音楽聴いてるしさぁ、マジでDQNだよ…歩く音もドンドンうるさいし、彼女らしき女が来た時は毎回ガタガタ揺れる音するし……

本当に……

…ムカ…つくわ…

…あれ?

…何か目から汁が…

(;´д⊂)」

HN:赤い水性のシャアサン

「気にするでわない、珍入者よ!俺達仲間がいるでわないか!」

シャアさんに励まされ、優しさと友情を再確認し、感謝しながらPCの電源を切り風呂へ…

出た後に再びPCを起動し、アニメやゲームの話で盛り上がり、気づけば夜中2時過ぎ…

明日も早いし寝るかぁとネットを落ち、布団に入る。

頭の中で大好きなアニメのヒロインの事やこれから発売のゲームの事を考えてたらトイレ行きたくなってきた。

古いトイレで用を済ませ、布団に戻る。

《ギシギシ…》

む?

また上の住人が始めたようだ…

《ギシギシ…ガタガタ…ギシギシ…》

うるさい…

眠気が覚めてきて仕方なく、もう一度PCを起動する。

HN:真夜中の珍入者サン

「また始まったよ…地獄の音の時間が…」

HN:赤い水性のシャアサン

「またかぁ…俺らに力があれば簡単に文句言えるがな…」

HN:匿名サン

「そいつの部屋に爆撃かましてやりたいわ…

ヽ(*`Д´)ノ」

《ギシギシ………》

終わったか?

《…………ガタガタ…》

HN:赤い水性のシャアサン

「終わったみたい?」

HN:真夜中の珍入者サン

「揺れる音は終わったがまだうるさい物音が続いてるわ…」

もう寝たいのに勘弁してくれ…

《……ガタガタ……》

あれ?

《……ガタガタ……》

この音…

上からじゃないような…

《……ガタガタ……》

HN:真夜中の珍入者サン

「ちょwww 物音俺の部屋から聞こえるんだけどw」

HN:赤い水性のシャアサン

「キターーーー(・∀・)ーーーー!!」

HN:匿名サン

「女神キタwww」

HN:匿名サン

「じゅ…準備桶デス…」

HN:匿名サン

「(*´д`*)」

HN:匿名サン

「可愛い子キボンヌ…」

HN:匿名サン

「((((゜д゜))))」

一気に祭りのように書き込みが増える。

音はトイレのドアっぽい…

ゆっくり近づき、ワクワクドキドキしながらドアに手をかける…

《ガチャ!》

…誰もいない……。

ちょっと残念な気もするがPCに戻る。

HN:真夜中の珍入者サン

「トイレから聞こえたんだが、誰もいなかったわ…(´・ω・`)」

HN:赤い水性のシャアサン

「乙…まだ女神はきてくれないかぁ…」

HN:匿名サン

「まさか俺らキモオタはやはり、幽霊にもモテないのか…」

HN:匿名サン

「…○| ̄|_…」

俺含め皆ががっかりしていると…

《ブツン!》

突然部屋の明かりが消えた

PCはバッテリーで生きてるが、PCの明かりだけで、ちょっと怖くなってきてまわりをあたふた警戒しながら書き込みする

HN:真夜中の珍入者サン

「((((゜д゜))))

いきなり部屋の電気消えたんだけど!!!」

HN:赤い水性のシャアサン

「今度こそキタ!!(・∀・)」

HN:匿名サン

「ついに降臨ww」

皆は盛り上がってるが、俺は怖さ半分期待半分だった。

必死に実況書き込みしてると、急にPCの画面に無数の黒い線が入る

なんだ?

まさかこんな時にPCがイカれた??

PCを軽く叩くと、

PC本体は軽く揺れるが、

その無数の線は揺れない…

もしや…と思い、

液晶に手を伸ばすと…

無数の線は液晶上ではなく、画面前にあった。

髪だ……。

HN:真夜中の珍入者サン

「なんか…長い髪が上から…」

HN:赤い水性のシャアサン

「マジ??」

HN:匿名サン

「もったいぶって憎いヤツだwついにその美麗な姿が…」

HN:匿名サン

「おいおい…マジレスだがやばくないか?」

最高潮にドキドキしながら書き込み、ゆっくり髪の元へ顔を上げる…

哲雄

「ぷぎゃーーーー!!!」

その後、真夜中の珍入者サンからの書き込みがされずに、心配になった同士達が警察に通報。

多数から電話が入り、書き込みから住所を割り出し警察が哲雄の家にいくが、電源の入ったPCがあるだけで哲雄の姿はどこにもなかった…。

彼はどこにいったのか…

その後、

新聞の片隅にも行方不明者と記載されネットでも、

『真夜中の珍入者サンを捜す会』

という名のスレが何回も立ち上がったが、有力な情報など何もなく、行方不明のままだった…

赤い水性のシャアサンはじめ、彼らが幽霊に甘い期待をする事はなくなったらしい…

怖い話投稿:ホラーテラー Shadyさん  

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