中編3
  • 表示切替
  • 使い方

クローゼット

あまり怖くないかと思いますが掲載させて頂きます。

中学二年生の頃の話です。

私の家族はどこにでもある賃貸の一軒家に住んでいたのですが、ある日人一倍見栄っ張りな父が良い物件を見つけたと母と私に話してきました。

後日私は嫌々ながらも家族三人で、その物件を見に行く事になりました。

建設業を営んでいる方が住んでいるみたいで庭も広く純和風な、とても立派な住宅でした。

早速相手方の家族に挨拶をし、家の中を見せてもらったのですが自分の家を売るというのに相手方の父親が最後までいなかったのが、とても気になりました。

父と母は何故か気にならないようだったのも覚えています。

全ての部屋を見て周り、その日はすぐに帰宅。

家族会議の結果、その家を購入する事が決まり、リフォームしてから住む事になりました。

それから2ヶ月してリフォームが終わり、念願の新居へ。

私の部屋は一階の玄関隣、大きなクローゼットがある8畳間に決まり、ここなら夜中でもこっそり遊びに行けるな…などと良からぬ事を考えていました。

それから3年が経ち、若気の至りで高校を中退してしまった私は社会人となり洋服販売の仕事と学生生活とは違った遊びに日々一生懸命勤しんでいました。

ある日、いつもの様に仕事を終えて職場の先輩と遊びに行き深夜3時頃先輩の車で送ってもらい帰宅。

仕事着なので帰ったら必ず部屋着に着替えて洋服をきちんと掛けるのですがクローゼットを開けると奥の上部に、つま先が下になった白い染みの様な靴の跡が二つありました。

何故クローゼットに靴跡があるのか、何故白いのか等疑問は様々でしたが、そんな事よりも誰がやったのかが気になり家族全員の靴を靴跡と照らし合わせましたが全て合いませんでした。

「とりあえず眠い…寝よ」

と疲れと酔いからすぐに布団にダウン

翌朝着替えている時に、ふと昨日の事を思い出し上の方に目をやると靴跡どころか白い汚れもありませんでした。

「そんなに酔ってたのかな」

とその時は気にせず仕事へ行きました。

それから一年程経って休みを利用し、母と生まれ故郷のM県へ遊びにいきました。

私は幼少期に霊に憑かれて死にかけた経験があり、M県に行ったら当時除霊してもらったKさんに必ず顔を出しに行きます。

その時に軽い気持ちで靴跡の事を聞いてみたのです。

今思えば聞かなければ良かったなと心から思います。

nextpage

クローゼットでの不思議な靴跡をKさんに聞くと、先程までのにこやかな表情が濁り、じっと私を見つめました。

正直何でもないただの思い過ごしだと思ってたのですが、Kさんの表情は思い過ごしとは到底思えないものでした。

それから静かにKさんは話し始めました。

K「あんたが今住んでる家は前に誰かが住んでたろ?」

私「はい、中古物件を買ってリフォームして住んでます。」

Kさん「前の家族の父親はいなかったろ?何でいないか知ってるのか?」

母「病気で亡くなったと聞ききました。」

話を聞いていた母の答えに何も聞いていなかった私は驚きましたが、間髪入れずにKさんが口を開きます。

Kさん「その家族の父親はね、事務所の換気扇で首を吊って死んでるんだよ。その事務所があんたの部屋で、クローゼットが換気扇のあった場所だ。」

私はもう何を言ってるのか分かりませんでした。

今まで暮らしていた家で、いや部屋で人が死んだ。

人が死んだ場所にずっと置いていた服が私の皮膚を包んでいる。

突然の事実に吐き気と目眩がしました。

母も口をあんぐり開いて絶句していました。

私「あの部屋にまだいるんですか!?除霊方法とかないんですか!?」

Kさん「それは見てみないと分からない。悪い霊ではないから心配せずに毎日冷たい水を供えてお経を唱えなさい。」

二度と帰りたくありませんでしたが翌日母と家へ帰り、冷たい水を供えてお経を唱えました。

確かに今思えば白い靴跡なんてどうやってつけるんだと思いますし、いかにも作業靴といったデザイン性皆無の靴跡でKさんの言葉を疑う余地はありませんでした。

その後、白い靴跡は現れませんでしたが家は売却しました。

この一件以来他人のクローゼットや押し入れに目をやるのが怖くなりました。

最後までお読み頂きありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー ぼさおさん  

Normal
閲覧数コメント怖い
1760
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ