中編3
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家政婦さん

父と母はスイスが好きで年に何回か旅行に行く。

幼かった頃は私も兄も一緒に行っていたが今はほとんどついて行かなくなった。

そんな時は家政婦さんが24時間居てくれる。

50代ぐらいでとても気が利き物知り。

私が物心ついた頃には居たのでかなり長い。

その日私は友人のパーティーに招待されていた。

家政婦さんが私に

「もうすぐお時間ですよ」と促す。

兄は朝から出かけていた。

父の友人に連れられ帰ってくるのは遅くなるそう。

そうこうしているうちに友人が迎えに来てくれた。

家を出る際家政婦さんは優しい口調で

「遅くなっても告げ口はしませんからね」

とウィンクしてくれた。

パーティー会場にはすでにたくさんの友人が来ていた。

…1時間経つか経たない頃私は携帯電話を忘れたことに気がついた。

携帯電話を持って来てもらおうと友人の携帯を借りて自宅にかけてみた。

…繋がらない。

家政婦さんには家政婦さん用に離れに部屋がある。

いつでも寝泊まり出来るように。

部屋に戻ってるのかな。

携帯がないと落ち着かないのでパーティーの途中だがタクシーを呼んでもらい自宅に戻った。

門を開き玄関へ。

セキュリティを解除し家に入った。

家政婦さんを探したがみあたらなかった。

居そうな場所を探したが居ない。

家政婦さんの部屋は母から個人のプライバシーを侵害したら駄目と強く言われていたので入ったことが無い。

部屋に戻ってるのかもと思い電話をしてみたが出ない。

なんだか嫌な予感がして家政婦さんの部屋の前まで行った。

ノックをしてみる。

…。

人の部屋を勝手に開けるのは躊躇する。

でも心配だった私はノブを回した。

ガチャリ

部屋は真っ暗。

名前を呼ぶが返事がない。電気のスイッチを探し電気を点けた。

家政婦さんらしく綺麗に整えられている。

奥にドアが見えたので開けてみた。

ドアが何かにひっかかった。

構わず開けてみた。

私は小さな頃から人形が好きで父がよくお土産に買ってきてくれていた。

綺麗なドレスを着てまるで生きているかのような人形達。

私の人形部屋にはたくさんの人形達がいる。

…ここの部屋も同じだった。

ただ違うのはここに置かれている全ての人形達は日本人形で顔が潰されていた。

人形達はとても汚れて着物は破れ片手や足が無い子もいる。

30体はありそうだった。

ボロボロの人形達が部屋に綺麗に並べられたカーペットの上には赤いサテン地のような布が敷いてあった。

ドアがひっかかったのは布のせいだった。

壁には私の家族の写真が大きく引き伸ばしてあり目の部分はマジックで塗り潰してあった。

あまりの恐怖にしばらく動けなかった。

ふと我にかえり急いで電気を消し部屋を出た。

耳を澄ましてみたが何も聞こえない。

タクシーを待たせていることを思い出し急いでタクシーのもとへ走った。

怖くて怖くて早くパーティー会場に戻りたかった。

タクシーが敷地を出かけた時タクシーの運転手さんが頭を下げた。

見ると家政婦さんがいた。

…あれから兄に連絡を取り父の友人に迎えに来てもらった。

両親が帰ってくるまで父の友人の家に居させてもらった。

その間何度も自宅から私の携帯電話に電話がかかっていた。

…後日両親が家政婦さんに聞いたところ捨てられた人形が可哀想で拾って集めていたとか。

あれ以来私はどうしても家政婦さんが怖くて別の家政婦さんに来てもらうことになった。

それから半年が過ぎた頃新しい家政婦さんが首を傾げながら私に聞いてきた。

人形部屋の掃除をしてたんですけど…壊れた人形は…直されますか?

人形を見に行くと

私のものではない日本人形が椅子の上にあった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん

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