俺は達磨をコレクションしているという宮田さんについて行く事にした。
タクシーを拾い、二人でその達磨を保管してあるという部屋へ向かう最中、俺は酷く興奮していた。
今まで怖いもの見たさで色んな趣味の悪い動画やエゲつない画像を見てきたが、
まさかガチモンをこの目にする日が来るとは…
気持ち悪がられるかもしれないがその時は本気で、一生の思い出になると思っていた。
タクシーに乗って30分くらい経った頃だろうか、宮田さんが携帯を取出しどこかに電話をかけはじめた。
俺は電話の内容に耳を傾けた
宮田『もしもし、B-3管理の宮田ですが…はい…ええ…今日は友人を連れていますので…はい…そうです…よろしくお願いします…いえ…今日はけっこうです…でわ』
C-3?おそらく部屋の番号だろうそして最後に何かを断った。普段はしていると思われる何かを
緊張している事もあってか神経質になっていた俺は、自らが達磨にされるのではないかとも考えていた。心配していた。
間もなくして目的地に到着
タクシーを降りてすぐ俺の視界に広がったのは広々とした土地に並ぶ工場の山々。
そしてその一角にある一面コンクリで固められた二階建の住宅。
ここから見たところ窓は見当たらない。
あるのはやたらと大きいドアだけだった。
確かに達磨を管理してそうな家だ…いよいよ現実味が増してきたぞ
宮田『行こうか…あ、その前に注意事項。僕の部屋に入るまでは口は閉じておいてね。僕以外にも人来てるから…一応ね』
俺『声を出すなって事ですよね…了解です』
了承を得ると宮田さんは手招きをしてその住宅の方へ歩いていった。
俺は覚悟を決めてその後を追うのみ
宮田さんがドア付近に付いているインターフォンを押すと、中から二人の気の優しそうなおじさんが出てきた
服装が何故か寝巻のようだった。ここで寝泊りしているのだろうか…
宮田さんはそのおじさん二人と軽く挨拶を交わすと俺に行こうと合図を出してきた
いよいよだ 己の身を案ずるが故に恐怖も交じるがわくわくしている
中へ入ると外装通り殺風景なもんだった
ただ淡々と並ぶ部屋のドアと、二階へと上がるための階段があるだけ
宮田さんは階段を上がらず奥へと進んでいく。どうやらB-3は一階らしい
口を閉じて後ろからついていくと最初のドアの前を通り過ぎる、中からは特に何も聞こえない。
B-3に着くと宮田さんは財布からカードキーを取出しドアを開けた。
恐る恐る入ってみるとベッドに何かが横たわっているのが見える
まぁ何かっつったって達磨なんだろうが
宮田さんはソファーに座って煙草を吸い始める
宮田『あ、ドア閉めて。…………どう?』
俺はまだ直視する事が出来なかった。一瞬だけ見たが、布を纏った物体としてしかまだ捉えていない。
それを察したように、
宮田『最初はなぁ…見れないかもね…でも田尻の希望だし…折角だし…社会見学のつもりでいいんじゃないかい?』
社会見学?裏社会だっつーの…
いや社会…?つかまず社会ってなんだっけ…
よくわからなくなってきた…
どうでもいい…見てみよう…
俺は考えるのをやめ、ベッドに顔を向けた
そこには胴体と頭部だけの女性がTシャツ一枚を着せらされた状態で仰向けになっていた。
俺『…マジ…で』
俺は素でそう言ってしまった。
宮田さんはそういうと思ったよといったような表情で俺を見た。
しかし…
実際目の前にしてしまうと脱力というか唖然としてしまうもんだ。
その達磨の女性は凄く綺麗で、ちゃんとプロの手でメイクアップされているのがわかる。
…人形…じゃないよな?
俺はそっと近づいてみた
腹、胸の辺りが浮き沈みしている。動いている。生きている。
紛れもなく人だ。これが本物の肉達磨なんだ。
俺は本物である事を確認すると後ろに下がり煙草を一本を取り出し一服。
この時俺がどんな表情をしていたのかは宮田さんだけが知っている。
宮田『さて…どうする?』
俺『…?なにがですか…?』
宮田『…何がって…言わさないでよ…』
俺『…いいんですか?』
宮田『…特別にね』
・これ以上は胸の内にしまった方がいいのか…?希望のお声はありますか?・
怖い話投稿:ホラーテラー 田尻さん
作者怖話