中編7
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インドのお祓い

インドの話しが出ていたので便乗致します。

以前、こちらで中国の方での凄まじいお祓いがあると言うのをを読んだ事がありますが、それに似たような体験を私の友人が体験をインドで体験したと言う話を聞いたので投稿します。

友人は男4人でインドに旅行に行った。

インドに行くのは全員始めてで、ガイドブックに乗っていないようなローカルな地方に宿を取っていた。

4人の内の1人の知人が現地にいるとの事で、その人のコネを使ったかなりの激安宿だったらしい。

到着してまず驚いたのは外観。まさに日本で心霊スポットとされる廃病院のような出で立ち。しかし、中はたくさんの宿泊客で活気があったとか。

荷物を下ろし、のんびりする間もなく昼食を取りに繁華街に繰り出す事になり、宿でタクシーを手配すると2台のタクシーが到着した。言葉は英語がなんとか通じるがほとんど何を言っているかわからない。

タクシードライバーは2人ずつ乗るよう言っていたようなので友人達は2人ずつタクシーに乗り込む。各々がドライバーに繁華街の名前を書いた紙を渡すと、『了解』と言わんばかりの顔で頷き車を走らせた。

宿の従業員に聞いた所、30分も掛からず繁華街に到着すると言われていたが、既に1時間が経過。

後方を走っていたはずの残り2人の車もいつの間にかはぐれた様だ。

結局、目的地に到着したのは約3時間半後。繁華街の入口では後方にいたはずの2人が待っていた。

どうやらぼられたらしい。後方にいた2名は途中で別のルートに変更され(勝手に)謎の集落に連れていかれ、その村の儀式めいた物を見せられたらしいが、友人1人が切れて怒鳴りちらした所、ドライバーは渋々車を出したとか。車の中でも椅子を叩きながら怒ったお陰か、他の2人よりは早く到着したのだろう。という事になった。

予想外の出費で友人達はテンションもガタ落ち。この気持ちは腹を満たしてごまかそうと言うことで、繁華街に入り、遅めの昼食をとる。

インドと言えば、寿司屋にあるインドマグロが美味しい!日本人観光客がくる場所ではかなり高額だからローカルな場所で食べるといいよと、現地の知人が教えてくれたそうな。

繁華街の中心に少し小さめの寿司屋を見つけ、入ってみると日本人は1人もいない。しかし、壁に掛かっているお品書きは現地の言葉で書かれていてどれがマグロかもわからない。最悪な事に英語すら通じない事態に。

すると隣の席の現地人がマグロを食べていたので、すかさず店員に

『あれと同じ物を4つ下さい。』

と必死にジェスチャーで伝えた所、店主が満面の笑みで親指をグッと立て、寿司を握り出した。

友人達は先程のタクシーの出来事もあり、宿までどうやって帰るかを話し合っていると目の前にガチャンと水と取り皿を置かれた。

こういう場所で日本と同じサービスを期待してはいけない。と分かっていながらも店員のぶっきらぼうな態度に腹が立つ。腹が減っているせいもあるだろうと4人はイライラしながらも、マグロの握りがくるのを待った。

すると、店員が大きめの皿に銀の立派な蓋が付いた物をテーブルに置いた。

不機嫌だった4人も、その演出で心なしか気分が晴れる。

店員が何かを言いながら蓋を開けた瞬間、全員が絶句した。

そこにあったのはマグロではなく、黒光りする真っ黒なネタの乗った寿司だった。

『ごっ…ごきぶりか…?』

『いや…これ…タガメだ』

『マグロじゃねぇし…』

『ってか…なんで16個もあるんだ…ありえねぇ』

友人達はパニックを起こした。しかし、先程タクシーでキレた奴が店主に

『誰がごきぶりモドキを頼んだんじゃ〜マグロ早く出せや〜こんなもん食えるわけないやろボケ〜』

と怒鳴りちらす。しかし店主も負けじと訳の分からない言葉で怒鳴り散らした。

しばらく、言い合いは続いたが野次を飛ばす現地人の人だかりと店主がまな板を振りかざすと言う行為に負け、タガメ軍艦を食べずに寿司屋を後にした。

料金は払わなかったそうです。

すっかり不機嫌になった4人は酒で気を紛らす事に徹した。

薄汚いバーですっかり酔っ払い、宿に戻ったのは深夜だった。ちなみに帰りは千鳥足で2時間弱で帰ったそうだ。

そして風呂にも入らず4人とも爆睡。(ちなみに部屋に風呂はなく、共同風呂がありかなり汚いとか。ゴキブリだらけの暗い風呂場だったそうだ。)

すると、昼間にキレまくった奴一人だけがうなされている。他の3人が全員気付いて起き様子をみるが、汗をびっしょりかきながらも全身は小刻みに震えている。揺すっても起きない。

寒いのかと思い皆がそれぞれ自分のベッドから薄いタオルケットを持ち身体を覆ったが震えは酷くなる一方。

さすがに手に負えない状況と判断し、フロントに行き病院に行きたい旨を伝える。そしてフロントの男には救急車を呼ぶ様に伝えたが。しばらくして到着したのは昼間に見たタクシーでドライバーは別の人った。

タクシーで病院に行けという事か…。

3人がかりでガタガタ震える意識朦朧な仲間をタクシーに運んだがタクシーにはドライバーの他に2人しか乗れない。

そこで1人が付き添いで病院に向かい2人は宿で待機する事になった。

付き添いは1番英語が堪能な奴だった。昼間の事もあり、寄り道や回り道はしないでとにかく病院へ急ぐよう伝えると、ドライバーは親指をグッと立て車を走らせた。

病院は繁華街の方面のはずだがまたもタクシーは道をはずれ、昼間に立ち寄った謎の集落で降ろされた。

友人の堪忍袋の緒が切れた。英語と日本語を器用に織り交ぜながらドライバーに罵声を浴びせ掛けると、ドライバーは素早く友人の後ろに回り込み口を塞がれた。

『っ…殺される……』

と思ったようだがドライバーは口元に人差し指を立てて『シーーーッ!』

声をあげるなと言う事だった。

ドライバーは一人集落の中に入り、しばらくすると仙人の様な出で立ちのヨロヨロの老人を連れてきた。

老人は意識のない友人を見るとドライバーになにやら指示を出してるようだった。

老人は一旦集落へ戻り、今度は4人の男を引き連れてきた。老人は友人になにやら話し掛けてきたが現地の言葉で分からない。

すると、村の男4人は既に意識のない友人を抱え老人と供に、ある建物の中に入って行った。残された友人も訳がわからないまま彼らについていく。

建物の中では大きな坪に火がくべてあり煙だらけ。おまけにむせ返る様な臭いと茹だるような暑さだった。

まず坪の前に意識のない友人が寝かされ服を脱がされる。股間には大きな葉っぱがかけられる。村の男4人が部屋の四隅に立ち、大きなうちわの様な物を振始めると老人は長い髪と髭を振り乱し、呪文の様な言葉を発し始めた。

坪の中から液体を掬い上げ口に含み、寝ている友人の全身に吹き掛ける。すると部屋中に異臭が立ち込め、付き添いの友人は耐え切れず、外に逃げ出し嘔吐するも、外にいたタクシードライバーに無理矢理、部屋に押し戻される。

涙目になりながら茶色い液体まみれになる友人をただ見ている事しか出来なかったそうだ。

その後、白い粉、藁の様な乾燥した植物を順番に浴びせかけ、最後にあの液体を寝ている友人の口に流し込む。

するとむせ返って友人が飛び起きた。

あまりの状況にパニックになる友人だったが付き添いの友人を見付けると一目散に走り寄った。

老人は外にいたタクシードライバーを呼び付け紙を渡す。ドライバーに事情を聞くと、昨日の昼間にこの集落で行った悪魔払いの儀式で払った悪魔がたまたまそこにいた友人に取り付いたと言っていた。

馬鹿馬鹿しいとは思ったが友人はすっかり元気になっている。

今日はこのまま風呂に入らずすぐに寝るよう言われ、集落を後にする。

ヘドロの様な物にまみれ異臭を放つ友人を先程のタクシーに乗せ(車内に汚いビニールが敷かれていたそうです)宿に帰るとフロントの男は笑顔で親指をグッと立て。

『助かって良かったな!』

と言っていた。

タクシードライバーはフロントの男に理由を話したのか、フロントマンはビニールシートを用意し、部屋の片隅に敷いてくれた。

その光景を残った二人は鼻と口を押さえジッと部屋の隅から見る事しか出来なかった。

とにかく話は明日起きてからって事で就寝する事に。

あの臭いに免疫のない二人は何度か起きて吐いていたようだった。

朝になり、まず4人は宿の共同風呂に向かいシャワーで身体を清めた。

その後、フロントに連絡し、例のヘドロまみれのビニールシートを撤去してもらう。

その際に、昨日のタクシー代とお祓いの金を請求された。

タクシー代金はぼったくられずお祓い代も日本円で800円程度だったそうだ。

日本でお祓いをした事がないから相場がわかりませんが、悪霊とやらを確実に払え、例えそれが悪霊でなく病気だったとしても短時間で確実に元気になった割に格安だと思いませんか?!

現地の知人に聞いた所、インドの奥地にはそういった霊媒師の様な方はたくさんいるそうだ。

また神聖なる場所が多く存在する為、悪霊の数も多く、何かおかしな事が起こると必ず霊媒師の元へ出向きお祓いをしてもらう地域が多いとの事。

取り付かれた友人は今も元気に過ごしている。

友人4人は今エジプト旅行を計画中だ。

また何かありましたらお話します。

怖い話投稿:ホラーテラー ダルシムさん  

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