短編2
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トモダチ

初投稿です。

駄文ですがご容赦ください。

私の娘は内気で、友達の多いタイプではありません。

いつも一人で本を読んだり、絵を描いたりしている子でした。

そんな娘が、小3になった直後くらいから、急に明るくなりました。

私は娘の変化をうれしく思い、毎日帰ってくるなりランドセルを放り出して遊びに行く姿を愛しく思っていました。

ところが、2ヶ月ほどして、娘の様子が徐々におかしくなってきたのです。

顔色は悪くなり、頻繁に体調を崩し始めました。

当然、学校も休みがちになりました。

「今日はゆうちゃんに会えないね」

娘は布団の中で、そう言い続けていました。

一週間学校を休んでしまい、心配した担任の先生がお見舞いに来てくれました。

「佐々木さん(娘のこと)、なんだか友達とうまくいってないみたいだから、ストレスでこんなことになっちゃったのかしらね。

なんにせよ、私の責任です。すいません。」

先生の言葉を、私は即座に否定しました。

「娘には仲のいい子がいますよ。ゆうちゃんと言っていましたが、クラスの子じゃないんですか?」

先生は首を傾げました。

「さあ、そんな子はいないはずですよ」

私はすぐに娘に聞きました。

「ねえ、ゆうちゃんって、クラスの子じゃないの?」

「違うよ。ゆうちゃんは学校行ってないの」

「そうなの?いくつぐらいの子?」

「あたしと同じくらいだよ」

おかしい、と初めて思いました。

「それって変じゃない?小学生なんでしょ?どこに住んでる子?」

「川の向こう」

さっと血の気が引きました。

川の向こうには田んぼと、墓地があるきりなのです。

「川の向こうには家なんてないでしょ。」

「うん、おうちはないの。ゆうちゃんはおうちがなくても平気だって言ってた。」

これはまずい。直感がそう告げました。

その後、私は娘を神社に連れて行きました。

神主さんは難しい顔をして、「なんとかしましょう」と言いました。

「やめて!ゆうちゃんがやだって言ってる!」

娘は大声で泣き叫びました。

私は意味が分からず、ただ娘を抱きしめました。

「お嬢さんを離さないでください」

神主さんの儀式の間中、娘は泣きじゃくっていました。

そして、儀式が終わると同時に、眠ってしまいました。

「お嬢さんには、寂しく生涯を閉じた子どもが憑いていました。

同じような境遇のこの子と、自分を重ねたんでしょうな。

だから、友達になろうとしたんでしょう。」

娘は、もとの内気な子に戻りました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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