中編4
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のぞき

うちは母子家庭で子供2人と私の3人ぐらしです。

住まいは家賃の安い、古い長屋のような一戸建てに住んでいます。

普段、まだ小学生の子供達は、夜9時頃に布団に入ります。

夏のある夜。

その日もいつもと変わらず、9時頃にはおやすみと挨拶をし、子供達は布団に入りました。

日中は仕事、帰宅してからは夕飯の支度や片付けなどでバタバタするので

子供達が寝てからが、やっとほっとくつろげる時間になります。

テレビでもみようかな…

それともお風呂入っちゃおうかな…

そう考えながらソファーに腰を下ろし、テレビに少し気をとられていた時です。

窓は網戸になっており、レースのカーテンがしまっていました。

家の外で何かの気配を感じた気がしました。

うちは猫を飼っており、外にも出しているので、猫かな…と、レースのカーテンを開け見回してみました。

猫の姿もなく、気のせいかな…と部屋に戻りました。

それでも一度気になったので、テレビのボリュームを少し下げ、なんとなく外を気に掛けながら、またテレビをみはじめました。

5分ぐらい経った時に、ゆっくりとコンクリートの上を

忍び足で歩いているような音が、聞こえる気がしました。

靴底とコンクリートに細かい砂利が挟まれる音が、かすかに聞こえる。

外に誰かいる。

そう思ってしまうと、私は子供達の顔が脳裏に浮かびました。

入ってきたらどうしよう…

2人抱えて走るのは不可能だ…

私は意識を外に集中させ、出来る限り自然な感じで、窓の前に立ちました。

室内は明るく、外は暗い状態。

これだとレースのカーテンごしでは、まったく外は見えません。

もし外に人が居て、しかも目の前に向かい合うように居たら…

そう考えると、カーテンを摘む指先から腕へ…寒気が波立つように走り、気持ちも体もすくみました。

それでも一気にカーテンを閉め、カーテン越しに窓を閉め鍵を掛けました。

終えると、すぐ側にある棚から懐中電灯を掴み、玄関へ向かい、ゆっくりとドアを開けました。

懐中電灯で照らしながら、音がしていただろう方向へ、怖い気持ちと開き直りの交ざりあったような、

不思議な感覚でゆっくりと向かいます。

しかしそこには誰も居ませんでした。

やっぱ気のせいかな…

首を傾げながら戻る途中、振り向いたり周りを見渡したり。

行きとは違い足音も大きく、小走りに玄関に向かいました。

玄関のドアを開け、少ししてから大げさな加減でドアを閉めました。

自分はまだ外に立ったままで。

そしてゆっくりと。

足音をたてないように、体をゆっくり動かして。

頭をもう少し動かせば、気配を感じた方向を覗き込める。

物陰に立ち止まった私は、鼓動がすごい早さでした。

一瞬躊躇しましたが、思い切って頭を動かしました。

でも誰も居ません。

やっぱり私の気のせいか。

腑に落ちないような感覚と、気のせいでよかったと。

口元をふっと緩め、玄関に戻り家の中に入りました。

戸締まりをもう一度確認して、ソファーにどかっと座りました。

怖さはまだありましたが、テレビをみながら外を気にしながらと、30分ぐらい時間が経ちました。

お風呂に入って、今日は早く寝よう。

そう思い脱衣場に向かいました。

Tシャツを脱ぎジーパンを脱いで、下着をはずしかけた瞬間。

閉め忘れて、10センチぐらい開いていた脱衣場の窓越しに、坊主頭の男と目が合いました。

男が持っていた懐中電灯の光が偶然、肝試しの時のように、男の顔を照らしながら

あっ…!

っと言ったような空気のまま、ゆっくりとしゃがみこんでいきました。

瞬間私はハっと大きく息をのみ、両腕で自分を抱え込みました。

すでに裸同然だったので、とりあえずバスタオルを巻き、部屋に戻るとすぐに窓から男の姿を探しました。

走るわけでもなく、大股で歩いていく男の背中が、だんだんと小さくなるのが、暗闇の中みえました。

すぐに近くに住む友人に電話をし、近所に交番があるので、お巡りさんを呼んでもらいました。

自宅に来たお巡りさんに一通り話し、周りを確認して頂きましたが、もちろんもう怪しい男は居ませんでした。

下見に何度かきたり、今日初めてではないかもしれない。

のぞきはみつかった家にはもうこない事が多いが、絶対とは言えないから気をつけて下さい。

と仰ってました。

人通りが多く、通り掛かりにのぞいてしまった、という状況ではなく、わざわざ来ていた事。

窓を閉めカーテンを閉めた時に、もしかしたら外に男が居たかもしれない事。

自分のとった行動や、お巡りさんの話などを考えると、男がいた瞬間よりも

後からの方が、じわりじわりと怖さが沸き上がりました。

大人の男性が家に居ない事が、こんなにも心細く危険を感じる状況だと実感した出来事でした。

それ以来、今まで以上に防犯意識を強く持つようになりました。

一人暮らしの方や私のような状況の方、もちろん大人の男性が家族に居る方々も、十分お気をつけ下さい。

これは私が経験した怖い出来事でした。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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