中編3
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公衆トイレ

今から3年程まえの話です。

村から少し離れた所にある少し大きな公園。

そこに何故か、新しい綺麗なトイレと、昔からある古いトイレがあるんです。

しかもその古いトイレと新しいトイレは、わずか20メートルぐらいしか離れておらず、私達の間では幽霊が出ると噂されていました。

私の地元では、年に1度その公園で盆踊りをします。

その盆踊りというのが、また特別らしく、真ん中に大きな火を焚き、その火の周りで同じ音頭を何時間も踊ると言うもの。

言い伝えによると、村で亡くなった成仏出来ない人達を、音頭で呼び寄せ、その大きな火で天に返すというものです。

昔から村に伝わる行事です。

当時私は、高校を卒業して、家の農家の手伝いをしていました。

毎日毎日同じ事の繰り返し、しかし私は、この毎日が大好きでした。

そして今日は年に1度行われる盆踊り。

その日は、私の同級生が全員集まる日、久しぶりに会う奴もいれば、毎日のように会っている奴もいる。

私は楽しみで仕方がなかった。

夜になり、私は家族みんなで公園に向かった。

既に公園は盛り上がっており、私もその輪の中に入り、踊りを楽しんでいた。

ところが、夜11時を回りだした頃、異変を感じた。

妙に空気が重く、張り詰めている感じがした。

周りを見渡しても、皆に変わりなく、多分私だけだろうと思っていた。

気分が悪くなり、その場を離れてトイレに駆け込んだ私。

しかしおかしい、確かに新しい方のトイレに入ったはずが、トイレに入るなり古い方の入っているのに気が付いた。

しかし、今にも倒れそうで、それどころでは無かった。

便器にへたりこむ私。

10分ぐらいたった頃だろうか、それまで気分が悪くて立つことも出来なかったのに、急に体がかるくなった。

さぁ戻ろうと思ったその時、外の異変に気が付いた。

……まるで盆踊りの音が聞こえない。

おかしいと思い、外に出てみると、人はおろか、何もないただの公園だった。

盆踊りのあとかけらも無かった。

呆然と突っ立ってる私。

すると後ろから、草むらを歩くような足音が聞こえた。

何故か背筋に凍るような寒さが…。

咄嗟にばっと振り返る。

!!!!

私は恐怖で声もでず、動く事すら出来なかった。

目の前に自分が立っていた。

顔に生きた表情は無く、ただ無表情で私を見ている。

時折体を前、後にゆらゆらと動かしている。

動かしているというか、風で動いているような感じ。

1時間ぐらいその状態が続いた。

その1時間は本当に恐怖の1時間だった。

自分が目の前に出て来たらどれ程怖いか思い知らせた。

その時、自分が私の方に歩いてきた。

息も出来ないくらい心臓の鼓動が早くなり、それまでためていた物が一気に流れだした。

そう怖すぎて漏らしてしまったのだ…。

とうとう目の前まで来た。

目を大きく見開き、口を見たことも無いくらい大きく開き、腹の底から低い声で言った。

『コンバンハ、アナタノ…』

その瞬間から全く記憶が無く、気付いたら、綺麗な公衆トイレの便器に座っていた。

ばっと外に出てみると、盆踊りの後片付けをしていた。

私は親にすがり付き大声で泣いた。

親は私の異常な行動に最初は戸惑いを隠せずにいたらしいが、私は今あった事を全て話した。

すると、シーンと静まりかえり、親の顔が青ざめていくのが解った。

すると村長が出てきて、不安そうな顔で私に質問してきた。

『何か言われたかい?覚えているか?』

私は、正直に覚えていない事を告げた。

すると村長の顔に優しい笑顔が戻り、一言。

『忘れなさい』

あの出来事以来、私は盆踊りには行けなくなった。

村の人達は、あのトイレには何があるのか、教えてはくれなかった。

村長には、お前が40歳を過ぎてから教えてやると言われています。

何故かは分かりませんが、今は私は23歳。

まだまだ理由が聞けませんが、あの恐怖が頭から離れません。

終わり。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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