短編2
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導き出された答え…②

【導き出された答え…②】

虫の鳴き声が

ひどく耳障りだったのを覚えている

僕等が見ているのは

道路からフェンスを挟んだ向こう側の林の中

生い茂る木々に囲まれるように

二階建ての小さな旅館が建っているのを見付けたからだ

密集した木々のせいで

その旅館の周囲だけが

薄暗さに包まれていた

旅行中の高揚感のせいか

僕等がその旅館へ侵入することを決めるのに、

時間はかからなかった

その佇まいだけでも不気味だったが、

時間はまだ午後三時頃

外もとても明るかったことも重なって

不思議と恐怖は感じなかった

今思えば

保守的な僕が何故、普段なら絶対入らないような廃墟に入ることを決めたのか…

分からない

そもそもこの時点で

【何か】に呼ばれていたのかもしれない

道路沿いに少し歩くと

フェンスに扉があり

鍵が開いていたので、そこから林の中に入り

僕等は旅館へと向かった

正面口に着くと

一瞬、廃墟特有の異様な雰囲気に呑まれたが

ゆっくりと引き戸に手をかけ

グッと力を込めた

ぎ…ぎぎ…

建て付けの悪い扉を開く時の嫌な音と共に

内部が姿を現した

やはり外から見た通り

小さな旅館だった

ただの木造の一軒家を旅館として使っているような

ずいぶんと昔の時代の旅館を意識させる作りだった

一歩踏み出すと

左手に小さな下駄箱があるのみの玄関があり、

もう一歩踏み出して段差を上ればすぐに

広間(?)と呼べるような

何もない八畳程の畳の部屋が広がり

その奥が厨房だろうか

そして

居間と厨房の間、左側に

二階へと通じる階段が見える

僕等はゆっくりと中へ進むことにした

広間の畳に足をかけると

バランスを崩し転びそうになり

思わず少し声が出た

原因は畳だった

畳が腐敗し、弾力が無くなっているのだ

例えるなら、

ウォーターベッドの上を歩いているような

ぶよぶよとした感触だ

後味の悪さを感じながらも柔らかな畳の上を慎重に進んで

厨房へと向かった

思った程、中は暗くなく

視界は開けていたが

厨房は、何故か窓が板で塞がれていたので暗かった

床があまりに汚かったので

厨房の入口から中を覗き込むような形でゆっくりと手前から奥へと見回していった…

気付けば

虫の鳴き声は聞こえなくなっていた…

…③へ

怖い話投稿:ホラーテラー とくめいさん  

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