中編3
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Kの話

く・・・暗い・・・

Kは何かの箱の中に閉じ込められていた。

「ガタゴト、、、ゴトゴト、、、」

自分が閉じ込められた箱を誰かが運んでいる。

一体何の目的でどこに連れて行かれるというのか。

Kは不安で気が狂いそうになっていた。

暗闇が怖いのではない。次の瞬間に自分はどうなるのだろう。

命を他人の手の中に委ねている感覚。それが怖かった。

「俺はこのままこの箱に閉じ込められたまま殺されるのだろうか」

・・・・・・・・

思えばこれまでの人生多くの悪いことをしてきた。

暇つぶしに他人の車のタイヤをパンクさせたり、高級車のロゴをへし折ったり。

ギャンブルにはめっぽう弱かった。

未来は僕らの手の中にあるはずだったけど、何もない退屈な毎日。

その毎日が男をダメにし、おまけに他人に迷惑をかけることで、どこかで自分の存在感を他人に認めてほしかった。

人殺しはしなかった。死には何度も直面したが。。。

その時外で「ガタン!ブーン」という音が聞こえた。

…エレベーターだ!

この感覚はエレベーターに違いない。

俺はどこかに運ばれている。

どこまでいくのだろうか。

その次の瞬間…

パァァァァァ!!!

鮮やかな閃光とともに扉が開かれる。

そこにあったのは…1本の「細い橋」

平均台くらいだろうか。

下に見えるのは人!人!人!

ある人は罵声を浴びせ、ある人はニヤニヤしながら何かを期待している。

た・・・高い。

15メートルはあろうかという橋の高さ。向こう側まで20メートルはある。

横を見ると自分と同じ境遇でここにいるだろう人が20名ほどいる。

どうやら、こいつらを蹴落として一番早く向こうまで渡ったものが勝者らしい。

Kが瞬時に理解し、一歩を踏み出そうとした刹那。。。

先を越される。

負けじと後を追う。

一本の橋の上。

追い抜くのはたやすいことではない。

しかし行かねば敗者。敗者はゴミ同然。

追いすがるKの耳に悪魔が囁く。

「押せ!」

思えば人間社会はこの状況と変わりがない。

人生の勝者になるためには他人を蹴落とさなければならない。

そのことは分かっている。

ただKはそういった日常から逃げてきた。

Kは分かっていた。ただどうしてもそれができなかった。

非日常から日常の理を再認識するK。

ボタンを押してる俺。

その時…

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

後ろのやつが足を滑らせ地面に転落。

「ぐちゃぐちゃ…メキっバキ」

歓声が上がる。

落ちた男の体は下半身から下はもはや人間の形をなしていない。

壁に投げつけられたプレモデル同様、足が砕け、変方向に曲がっている。

同様に内臓も損傷しているのであろうか、鮮血とともに腸が飛び出している。

それを見るのが愉悦とばかりに興味深そうに見ている観衆。

他人のことにはかまってられない。

「押せ!押せ!」

周りの観衆も次の獲物を見たいと言わんばかりに、自分に罵声を投げつける。

必死にボタンを押している俺。

結局、男は他人を蹴落して人生の勝者になる行動はできなかった。

挙句の果てに、他人に押され暗闇に消えていくK。

その日、俺は3万負けた。

ざわざわ・・・

怖い話投稿:ホラーテラー ペリエさん  

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