友人の母が自殺した。
友人は深く落ち込み塞ぎ込んでいたが、親友である私は友人を慰めながらも外へ出すようにしていた。
ある日、友人宅に泊まりに行き、トイレに立った時、廊下の突き当たりにある観音開きの物置に違和感を覚えた。
よく見ると、取っ手に付いている房がユラユラと揺れていた。
まぁ…古い家だから隙間風でも吹いているのだろう。
気にせずトイレへ入り用を足していると廊下から『キィィィ…』と微かに扉が開くような音がしたのでトイレを出て、物置を見ると閉まっていたはずの扉が少しだけ開いていた。
隙間からは何も見えない。ただただ真っ暗だった。
しかし、そこにはただならぬ物があった。扉の下の方…内側から青白い指が扉の縁にかかっており、私がそれに気付いた瞬間ゆっくりと白い指は爪を立てながら、扉を内側に引き寄せ閉めようとしていた。
『はっっ!!!』
息を飲んだ瞬間出てしまった声に白い指は反応したかの様に凄い勢いで扉を閉めた。
閉まる瞬間に指はスッと吸い込またかの様に中に消えた。
扉は先程見た時と同じく取っ手の房が揺れていた。
凄く怖かったけど友人に話す事はしなかった。
友人の母親が自殺したのがその物置の中だったから。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話