短編2
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少年の頃の思い出(再)

俺さぁ、昔はけっこう悪かったんだよね。

やんちゃしてたって言うか。

盗みや喧嘩は当たり前だったし、気に入らない奴はボコボコにしてやったよ。

ある日 隣町の奴に喧嘩を売られた事があったんだ。

俺を目の敵にして 何かと突っ掛かってくる嫌な奴。

睨まれたから、もちろん俺も睨み返してやったさ。

そしたら奴が

『お前 親いないんだって?捨てられたんだろ!』

って言ってきやがった。

それを聞いて 俺も血が上ったね。

確かに俺は親の顔を知らないよ。

でも、あいつにそんな事を言われる筋合いはない!

『だからなんだよ!じゃあ、お前にもいい事教えてやるよ。

お前が母親だと思ってる奴はなぁ、お前とは赤の他人なんだぜ?』

『は!?適当な事言ってんじゃねーぞ!』

『適当?お前とあのおばさん……全然似てねーだろが!』

俺にそう言われたあいつは、目を丸くして呆然としていた。

そして一瞬、泣きそうな顔をして行ってしまった。

正直 言い過ぎたと思ったが、あの頃の俺には 謝るという選択はなかったんだ。

こんな俺が変われたのは、ある女との出会いがあったからだ。

彼女は、どんなに俺がはねつけても、俺を信じてついてきてくれた。

優しく見守ってくれた。

だから、初めて心を開く事ができたんだ。

今なら、あいつに謝ることもできるのに……。

本当にそう思う。

あ、なんか長々と話しちゃってごめんな?

彼女が呼んでるから、俺もう行くわ。

ほら、聞こえるだろ?俺を呼ぶ彼女の声がさ。

「クロー?御飯だよ〜!」

『ウニャ〜ン』

『失恋 そして出会い』に続く

怖い話投稿:ホラーテラー 桜雪さん  

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