短編2
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覗く少女

私と母が体験した話。

私が小学生の頃(10年程前)。

母子家庭だった我が家は

母が県内の旅館で中居として働き

帰ってくるのは毎晩午後11時過ぎ。

ある冬の寒い日。

その日もいつもと同じ様に

仕事を終えクタクタになって

母は車で帰路についた。

私達が住んでいたのは

県内1大きな団地でした。

団地に入り我が家の棟の近くに

さしかかった時運転席の窓が

ウィー…と音をたてて勝手に下りた。

ビックリしたが誤作動だと思い

ひとりでに降りた窓を閉めた。

するとすぐにまた勝手に

ウィーと音をたてて窓が下りる。

それが3回続き4回目に下りた時に

車を路肩に停め窓の方を見た。

その瞬間金縛りになり

眼球さえも動かせられなくなった。

冬のせいか暖房の効いた車内が

一気に冷気に満ちていく中

母は冷や汗と脂汗が吹き出て

尋常ではないくらいの

寒気に襲われ生命の危機さえも感じた。

どれくらいの時間が経ったのか…

母はまだ金縛りにあっていた。

先程とは違い眼球は何とか

動かせるようになった。

目だけを動かして辺りを見る。

…何かと目が合った。

ガラスが下りきった窓に

青白い手がかかっている。

そこから目から上を出し

黒い乱れた髪の真っ白い少女と

目が合った。

そこで母は気を失った。

私はいつも妹と2人で

眠い目をこすりながら

母の帰りを待っていた。

午前になっても母が

帰ってこないので心配になり

ベランダに出て

団地内の道路を見渡した。

するとハザードを付けた

母の車が停まっていたので

少し怖かったが

妹に留守番するように言い聞かせ

上着を羽織り車まで

猛ダッシュで走った。

窓は開いたままだ。

中を見ると母が気を失っていた。

お母さん!!お母さん!!!

と何度も呼びかけると

母はハッと目を覚まし

私の顔を見ていきなり泣き出した。

私はわけがわからず

一瞬事故でも起こしたのかと思い

車を見たがどこもぶつけた様子が

なかったので家に帰ろうと言い

助手席に乗り込み震えている

母の背中を撫でながら団地下の

駐車場に着いた…

早く家に入ろう

力の抜けた母の言葉が

異様に怖くて早足で駐車場を歩いた。

フッとゴミ捨て場に目が行った。

長い髪の女の子が下を向いて

立っている。

私は叫んだ。

私の声にびっくりして

母が視線の先を見る。

母もそれが見えたのか

私を抱き上げ着物を着ているにも

かかわらず走り出し

階段を駆け上がり転がり込みながら

家に入って鍵をした。

その日の晩は眠れませんでした。

これがこの日私と母が

体験した怖い話。

この他にもたくさん

怖い体験をしました。

その話はまた後日。

怖い話投稿:ホラーテラー まーうんさん  

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