中編3
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フタリ

今年25歳になる敏男は日常に疲れていた。

毎日同じ生活。

大学を卒業後地元を出て一人暮らし

平日は家に帰ってすぐ寝る生活、土日はパチンコとギャンブルに明け暮れていた。

1年前に彼女と別れてから出会いすらいない。

ある日仕事が終わりいつも通る小さな公園に差し掛かった。

この公園はベンチと遊具が数個あり、朝は息抜きに煙草を吸い、帰りも近道として通っている。

ふいに今日仕事でした失敗を思い出しベンチに座り煙草に火を付けた。

『このまま人生終わるのか』

自然に視線は下を向いていた。

あとひと吸いくらいかなと煙草を見て顔を上げた。

少し離れた向かいのベンチに男がいた。

《気付かなかったな》

何気なく見ていたつもりだったがその男と目が合った。

男は急に立ち上がりこちらに向かって歩きだす。

敏男は煙草を消しながら視線を下にした。

男の足音が止む

そして

「すいません煙草一本頂けますか」

びっくりした。いきなり見ず知らずの奴に煙草下さいと言われて普通なら渡さない。

値上げした上にこんな夜に気味が悪い。

ただ敏男は先週パチンコで勝ったこともあり、一本ならと煙草を渡した。

「隣いいですか」

そう言いながら返事を待たず男は隣に座り煙草に火を付けた。

ライターは持っているようだ。

《気味が悪いな。浮浪者か?》 心の中で敏男は思った。

「あなた今の生活に満足してますか?」

《!?》

急な質問で敏男は返せなかった。満足はしていないが質問の意図がわからない。

少し間が空いて敏男が言う。

『どういうことです?』

曖昧な返事を返す。

男は言う

「私と恐らくあなたも今の生活に満足していない。このまま終わりたくないが今の自分達のままでは無理です。ですので提案があります」

敏男は何を言っているのかわからなかった。確かに満足はしていないがこいつよりは明らかにましな生活をしているつもりだ。

《こいつ頭がおかしいのか?だが見た所しっかりしていて年齢や背丈、体形も自分と同じくらいだ少し服が汚いくらいか》そう思いながら敏男は黙っていた。

男は続ける

「私はあなたの分身となり自分の人生を捨てます。気味が悪いとお思いでしょうがあなたにとっても悪い話ではないと思います。見た所背丈や体形も似ている、顔もあなたと同じ顔に整形をして仕事やあなたが辛いと思うことを私がやりあなたは人生を楽しめばいい。顔を整形するお金は私が出しますが住む所や給与は同じということでどうですか?」

いきなりで敏男は声が出ず動揺はしたが反面こいつを上手く使えば楽して人生生きていけると変な期待が出てきた。

だが怪しすぎる。いきなりこんな話を引き受ける者はいない。

『本当に辛いことをやってくれるのか?』

敏男が言う

男は「はい」とだけ答えた。

少し考えた結果。

敏男はこの気味が悪い話に乗る。人生を変え楽なものにするために敏男の奇妙な生活が始まる。

続く

怖い話投稿:ホラーテラー 潮騒さん  

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