中編3
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フタリⅡ

敏男は自分の家にその男を迎え入れ詳しく話をした。

話せば話すほど敏男にはメリットがある話であり、気持ちが高まる。顔が同じでない間は変わりにギャンブルで儲けてもらっていた。

月日が経つと目の前には自分と全く同じ男がいた。

お互区別がつかないくらい似ている。

始めはやはり慣れなかったが数日するとそれには慣れた。

他人にバレないことは一人暮らしで都会に住む敏男には安易だった。幸い友達も地元にしかいない。仕事は流れの把握とバレていないかの偵察も兼ねて週に一度は敏男みずからが行くことにしていた。

全ての主導権は敏男にあった。 男は忠実に従う。

変な信頼関係もできてきた。

奇妙な生活にも慣れ半年が過ぎた。敏男はいつも行くパチンコ屋で最近入った子に一目惚れをする。何度も通い仲良くなり何とか番号を交換した。

《あまりにも順調すぎる人生だ。ギャンブルにも勝っているし遊んでいても給料は入る。

かかると言えば奴の飯代くらいだ。そしてお互いの関係も特に悪くない。奴は仕事に楽しみすら感じてきている》

女の子とメールをしながら敏男はそんなことを考えていた。

その彼女とは順調にデートを重ねついには付き合うことになった。幸せの絶頂だ。

敏男は浮かれて週1の仕事にも行かなくなった。

彼女には家が金持ちだから自分は働かなくていいと嘘を言い行きたい所へ行って楽しんだ。

その間も男は忠実に言われたことをしている。

知らないうちに少しばかり毎月入る給与も増えていた。

敏男はギャンブルと女を楽しみ面倒なことは男にやらせた。

遊び半分で休日に彼女と関係を持たせたり。別れるときは男に連絡をさせていた。

ある時敏男はひとりの女性から結婚を迫られる。

《貯金もかなりあるし結婚してもいいかなぁ》

28歳になっていた。

そして敏男は結婚を決めた。

結婚式の前日敏男は男にこう告げた。

『明日結婚をするが新居に隠し部屋を作るから今後はそこへ住んでくれ』

「わかりました」男が言う。

お願いがあります。

「隠し部屋は必ず見付からない所にしてください。地下でも窓がなくてもいい。ただ確実に誰にも見付けられない所にしてください。」

初めての男の願いに敏男は慎重になりすぎだろと鼻で笑いながら承諾した。

今でも2人の主導権は敏男だ。

それから数年後妻と子供2人と暮らす幸せな家庭があった。

仕事も順調で社員に慕われ課長にまで昇進した旦那。笑顔が絶えない家族。親を慕う子ども。

そう主導権はとしおのものだ。

2人が1人になっていた。

公園のベンチで横になる男、顔色が悪い。無造作に髭が生え顔が良くわからない。

少し前まで良い生活をしていたのか身なりは綺麗だ。

向かいのベンチにサラリーマン風の男が煙草に火を付けて座った。

《悩んでいるのか》

見れば背丈や体形も自分と似ている。歳も30くらいで自分と同じぐらいか。

《こいつにするか》

向かいのサラリーマン風の男と目が合った。

向かいのベンチへと向かう 。

『煙草一本頂けませんか』

サラリーマン風の男は少し考えながら一本の煙草を手渡す

『隣いいですか?』

男は返事を待たず座った。

男は言う

『あなた今の生活に満足してますか?……』

怖い話投稿:ホラーテラー 潮騒さん  

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