短編2
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かまきり

これはもう十年以上前の出来事で、当時僕が小学生の時の出来事です。

僕はよく犬の散歩を夕方にしていて、その日もいつも通り散歩をしようと出かけました。

そして、たまに通る古いビルの並んだ裏通りを通ると、建物の間で何かがくねくね動いているのに気づき、建物の影に隠れてこっそりとみていたら、それは若い女性であることがわかりました。

女性は、ぺたんと座り込んで、手をだらりとさげたまま上をみてくねくね動いていました。

僕は何を考えていたのか、妙に興奮を覚え、犬を連れてその女性の前を通り過ぎて行きました。

そして、建物の角を曲がろうとしたたき、その女性が立ち上がったのが分かりました、振り向くと女性は奇妙なポーズをとって、こちらを見ています。

そのまま僕は角を曲がり怖くなり急いで犬と逃げて、また、建物の影に隠れるとさっきの女性がさっき曲がった角からでてきてあたりをキョロキョロと見回しています、その時もあのポーズでした。

そして、女性はそのまま僕とは逆の方向に向かってあのポーズのまま、走って行きました。

かりにあのポーズを生き物に例えるとしたら、カマキリの他にはないでしょう。

犬は僕の足元でうずくまり、ふるえています。

........翌日、夕方に散歩に行くのが怖くなり、朝早くに散歩に出かけました。

そして、散歩を一通り終え、家に帰ることにしました。

家の前について犬の方を見ると、いなくなっていて、今までにヒモでつながなくてもしっかりついてきたのに、おかしいなぁと思いながら、今通ってきた道を歩いていると、すぐ側のゴミ箱の裏にかくれてまた、昨日みたいにふるえていました。

それをみて、僕は犬を抱いてそのまま帰りました。

その日、友達が遊びにきて夜遅くまで遊んでいて、そろそろ母が返したほうがいいと言い、友達は帰って行きました。

.......翌日、友達と遊ぶ予定があり、また、家によんで遊んでいると、友達は、何か思い出したような顔でけらけら笑いながらこう言ってきました。

「そういえば、お前カマキリみたいな女の子友達いねぇ?」

「昨日、帰り際にお前んちの前で変なポーズとってたぞ」

とうとう、友達はおかしくなって笑いころげました。

そして、座っている僕と、僕の股のうえに座っている犬の目の前であの女性の取っていたポーズを笑いながら真似をしました。

犬はそのまま逃げ出して、僕も思わずうわっと声をあげてしまいました。

...........僕の体験はここまでです。

後日談もあるわけではないのですが、犬の散歩は、必ず誰かと行くようになり、あの朝早くの散歩で犬がふるえていた理由も分かったような気がしました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 通りすがりさん  

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