中編5
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山の奥

『おい、起きろ』

朝3時私は兄のその一言で起こされた。

私『何?』

兄『今からツレとカブトムシ取りにいくから、おまえも用意しろ』

兄は二十歳。

いい年にもなってカブトムシ取りなんて…そう思う人もいるかもしれないが、まぁ友達と遊びにいく口実だ。

私『…わかった。』

家の前には、一台のハイエースが止まっていて中に入ると、兄の友達が5人程乗っていた。

まぁいつものメンバーだ。

私もちょくちょく誘われる事があり、皆一緒にいると年上って事もあって、結構楽しかった。

地元から約1時間半かけてようやく山に到着。

暗い入り口が口を開けていた。

山の奥の方へ、ずんずん進んでいく。

山に入って30分、目的地へ到着。

辺りは真っ暗で、ゆらゆらと木々たちが奇妙にゆれている。

車のライトと懐中電灯だけが頼みの綱だ。

さぁ行くぞ、その誰かの声で外にでる。

木に蜂蜜を塗り、待機。

また木を見に行く。

はいゲットン。

二匹ゲットン。

皆ワイワイ楽しんでいた。

と、その時物凄い突風が吹いた。

ヒュオオオオオァァァ

ザザザザザザザザザ

木々が物凄い勢いで揺れる。

すると、向こうの方から足音が聞こえてくる。

ザッザッザッザ。

皆固まっていると、男性が歩いてきた。

歳は40半ばで、体付きはがっちりしていて作業服?のようなものを着ている。

最初は皆びっくりしていたが、まぁ私達と同じ様な目的だろうと思っていた。

懐中電灯を持っていない所から見て、近くに何人かいるのだろうと思っていた。

兄『…こんばんは。虫とりですか?』

男『違うよ、キャンプしてるんだ』

兄『へ~こんな所にキャンプ場なんかあるんですか』

男『すぐそこだよ、そーだ!こっちへ来なよ、もてなすからさ。』

兄は皆の反応を伺って一言。

兄『お邪魔します。』

私はどうもその時から嫌な予感がしていた。

何故なら喋り方がどうも変だ、機械的というか棒読みというか。

顔が笑っていなく、無表情なのだ。

しかし私に権限は無く、付いていく事に。

車はそこに置いていき、歩く事30分ようやく着いた。

遠い。

こんな所から懐中電灯無しで普通私達の所までこれるか?

多分皆同じ事を考えていただろう。

着いた場所は、キャンプ場ではなく川の横にテントを張っているだけだった。

しかも一組だけ。

兄『あの…キャンプ場じゃないんですか?』

男『穴場なんだ』

兄『はぁ…そうすか』

テントに近づくと人がいた。

ガリガリに痩せている女性と、男の子と女の子。

子供骸骨のように痩せている。

軽くお辞儀する私達。

女性『さぁ…こっちへいらっしゃい、おいしいお茶でもどーぞ。』

一同『ありがとうございます』

喉が渇いていたためか、一気に飲み干す。

『ごちそうさまでし…』

ここから記憶が無くなる…

気が付くと私は大きい火の横に1人座っていた。

まわりを見渡しても、兄達は居なく、あの家族が無表情で座っていた。

私の方を見ていた。

私『あの…皆はどこに行ったんですか?』

男達は何も言わず、無言で首を傾げる。

知らないと言わんばかりに。

子供達はニヤニヤしてこちらを見ている。

ヤバイ!

私は足の先から鳥肌が立っていた。

みんなどこいったんだろう。私を置いていくわけがない。

まさか食べられたんじゃないだろうか、嫌な事だけが頭に映る。

すると子供達が『ままお腹空いたよ』

女性『そろそろご飯にしましょ』

私の顔を見ながら言った瞬間に、私はとうとう恐怖を堪える事ができず、逃げ出してしまった。

車のあったほうへ、覚えている限り走った。

後ろを振り返ってもついてきていない所から見て、追っては来ていない。

しかしいくら走っても車は無い。

山のなかを方向も分からずにただ泣きながら走っていた。

何時間走ったのか、辺りは一向に明るくならない。

もう朝が来てもおかしくない。

私は恐怖と焦りでその場へへたりこんでしまった。

下を向き泣いていた。

すると後ろの方から、歩く音が…。

私は兄だと思い、木から少し顔をだしてみた。

!!!!

さっきの奴らだ。

探している、私を…。

私は泣くのを堪え、必死に息を殺していた。

男『ララララ~ララララ~』

女性『うるさいわね、聞こえたら逃げられるじゃない』

子供『そーだよ、久しぶりのご飯だよ』

男『すまんすまん。ついな…さっきのも美味かったからな、つい気持ちが高ぶってしまって……なっ』

兄の事だ…。食べられたんだ。

必死に気持ちを押さえようとしたが、押さえ切れず、声がでてしまった。

『うわ~』

バッ!と一斉にこっちを見た。

女性がニヤっと笑う。

子供が叫ぶ。

『いーーーたーーー』

私はまた、ダーーと走りだす。

後ろからも追い掛けてくる。

私は恐怖で足がもつれるのを必死に耐えて走る。

足はガクガクでいつ転けてもおかしくなかった。

『ララララ~ララララ~』

男は歌いながら走ってくる。

泣きながら走る私。

すると前の方で何かが光った。

車だ!

兄もきっと乗っている。

私は車の方へ走っていく。

後ろからは奴らが追い掛けてくる。

車の助手席のドアを開けようとした瞬間!

ガッ!

鍵が閉まっている。

運転席には兄が乗っている。

私『兄貴~兄貴!開けてくれよ!奴らがくるぞー!』

私は泣きながら叫んだが、兄は前を向いたまま無表情だ。

私『おい!兄貴開けろー!』

兄の顔がこちらを向いた。兄の顔半分が無い。

兄『おまえも、食われろよ。ぎゃっはっはっは』

私『うわぁぁぁ』

私は尻餅をついた。

と、後ろから肩を叩かれた。

後ろを見たら、奴らがいた。

『いただきまーーーす』

奴らが一斉に飛び掛かってきた所で、めが覚めた。

私『ウワァァァァァ』

兄『うぉ!なんだ一体、どうしたんだよ。』

気付いたら車の中で、丁度山に着いた所だった。

夢を見ていたのだ。

兄『着いたぞ、起きろ!』

辺りを見渡す。

あれ?見たことがあるような…。

しかし夢の内容は全く覚えておらず、軽くデジャブだーなんて流していた。

しかし木に蜂蜜を塗り、少し放置してまた木を見に行く。

ゲットン、二匹ゲットン。皆楽しんでいる。

と、足音が聞こえてくる。ザッザッザッザ

1人の男が現れた。

その顔をみた瞬間、夢が全てカムバックした。

私は声を張り上げた。

私『ウワァァァァァ、兄貴!早く逃げろ~』

最初は皆、私の可笑しな行動にポカンとしていたが、私の必死さに負けたのだろう。

皆車に駆け込み、引き返した。

そして、車の中で私は、夢の全てを話した。

勿論笑い話にされたが…。

帰り道中、山の中に小さな川が見えた。

誰かキャンプファイアーをしてるのか、焚き火のようなものがあった。

それをじっと見ていると、奴らがいた。

炎の横には、見知らぬ誰かが座っていた。

奴らがはその誰かを見て、笑っているように見えた。

終わり

怖い話投稿:ホラーテラー トーマスさん  

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