短編2
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僕のお姫様 後半(の前半)

僕は先輩に尋ねました。

「座敷わらしってあれ、確か子供の霊ですよね。何で子供だって分かるんです?誰か見たんです?」

先輩は少し間をおいて話し始めました。

「俺が聞いて知ってるんは・・・・」

話の内容はざっとこんな感じでした。

その霊は、ここが料亭を始める以前から(料亭の前は造り酒屋だったらしい)ずっといる。日によって男の子になったり、女の子になったりするが、基本子供の顔で現れる。ただ、その霊には首から下がない。気味が悪いので、昔、神主を呼んでお祓いを試みた事もあったが、全く効果がない、などなど。

「うちに来る住職に視てもらったら、こんな事言うとったらしいわ。ここにおるんは神様みたいなもの。ただし神様そのものやない。神様の髪の毛、ほんの一本だけが変化(へんげ)しとるようなもんやけど、それでも、祓うなんて絶対に出来へんと」

何年か前、それを聞いた店の主人が立派な神棚を祀ったところ、次の日には爆発して木っ端みじんになっていたらしい。

「髪の毛一本で爆発やて(笑)さすがに爆発は大袈裟やろ!と思ってんけど、なんでもそん時、御神酒の入った徳利が縦に割れて真っ二つやて」

「・・・・・まじ?」

それ以来、下手に関わるとろくな事にならん、客の方には出ないようだから放っとこう、という事になって今日に至るとのことでした。

(生首て・・・座敷わらしどころの話じゃないし・・・てかこいつ!聞かんかったら座敷わらしで済ますつもりやったんか~い!!)

言い忘れましたが、僕は料理に興味があると同時にホラーにも人一倍関心があったのです。

金縛りにはしょっちゅう遭ってましたし、霊らしきものを見た経験もあります。

そんな僕が、先輩の話を聞いた際の率直な感想を述べますと

(とりあえず悪い霊じゃなくて良かった♪)

でした。

同時に、(何で誰も、夜中調理場に近付かないのか!)という理由が判ったような気がしました。

当時僕を含めて3人の新米がいたのですが、時間外ならいつでも調理場を使って良いことになっていました。もちろん、まな板から塩胡椒に至るまで全て自分持ちですが。

多分、他の二人は生首を見たのです。いやまあ、普通なら、髪の毛を見ただけで寄り付かないかも知れませんが。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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