短編2
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深夜の地鎮祭

我が家の周りは新興住宅地で、野山を切り開いて新しい家やアパートがどんどん建てられているといった状況です。

そして、家の裏手には60坪くらいの売り出し中の空き地があります。

先日の深夜、私はトイレに行きたくなり目を覚ましました。

2Fの自分の部屋からトイレまでには

裏手の空き地を覗ける窓があるのですが、

用を足して部屋に戻る時、その窓が目に入りました。

カーテンの閉められた、普段は全く気にもならないような窓。

さっさと部屋に戻って寝たいはずなのに・・・。

私はそれでも何となく気になってしまい、カーテンを開けて窓の外を覗きました。

空き地の真ん中に、白いものが光っていました。

よく見ると、それは紙でした。

神棚に供える榊の葉に、折った白い紙を付けませんか?

あの紙です。

微かな風に揺れて、夜の暗闇の中でよく目立っていました。

私は闇に目を凝らしてよく見てみました。

4本の細長い枝のようなものが四本、四角形になるように地面に刺さっています。

そこには藁のようなものが結ばれていて、四角形が形作られていました。

その四角形の中に、は、暗くてよく分かりませんでしたが、何かが小山になって盛られていました。

分かりにくいかも知れませんが、上から見ると下の図のような感じです。

・―・

|◎ |

・―・

・←刺さっている棒

-←結ばれている藁

◎←何かの山

多分、1㎡×1㎡くらいはあったと思います。

最初に見た白い紙は、4~5枚位で、藁に結び付けられていました。

私は毎日通学の時にその空き地を通るのですが、

その日の夕方には、確かにそんなものはありませんでした。何も無い、ただの空き地だったはずです。

奇妙だとは思いましたが、

私は、この空き地が売れて、これから家を建てるから地鎮祭でもしてるのかな・・・と思い、

カーテンを閉めて部屋に戻りました。

翌朝、改めて窓の外を見ると、昨晩見たものは跡形も無く、見慣れた空き地が広がっているだけでした。

朝食の時に両親に聞いてみましたが、

あの空き地が売れたという話は聞かない、

深夜に地鎮祭を行って、すぐに撤去するなんてありえないと言われました。

それ以来、あの地鎮祭のようなやしろ?は見ていません。

私は残念ながら地鎮祭に立ち会った記憶も知識もないので、

あれが地鎮祭のものだったかと言われると自信がありません。

何か別の祭壇?だったのかも知れません。

あれは何だったのでしょうか。

怖い話投稿:ホラーテラー 劣さん  

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