短編1
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ちっちゃい

私の職場は半導体製造工場だ。

クリーンルームに霊など不釣り合いではあるが、実際にあった話だ。

製品検査で顕微鏡を覗いていたときだった。

突然、私のすぐ右隣の検査ブースから悲鳴がこだました。

何事かと思いブース内を見てみると、悲鳴を上げた若い女性検査員が何やら興奮している様子で、『オジサン!オジサン!』。

と、叫んでいる。

訳も分からず彼女が指差す顕微鏡を覗いた。

基盤に掘り込まれた集積回路が見える…。ラインの幅は10ミクロン。

『うぉ!』

私も思わず声を上げた。

緑色のジャージにハゲ頭。

こいつが噂に聞く、ちっちゃいオッサンか!?彼は寝そべっていた。

私は静かにその製品をバキュームピンセットで持ち上げ、エアーガンで表面を吹き付けた。

その後、再び顕微鏡で見てみたがいなくなっていた。

おそらく吹き飛ばされたのだろう…。

落ちはないが、余談。

身長は20ミクロンだった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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