短編2
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探索好き

うちの家族はドライブが好きで、小さい頃から父の休みの日にはよく連れていってもらいました。

また、都会でも田舎でも、プラプラと気ままに歩いて見るのが好きです。

けど過去に一度苦い経験をしてからは、あまり奥まった所には行き過ぎないよう気を付けるようになった―…

その時の話を書かせてもらいたいと思います。

あの日は両親と私の3人で県境の山間まで行き、景色や食べ物を楽しんでいました。

帰り途中に、車で入っていけそうな細い脇道が上に続いているのが見え、まだ時間もあったので探索してみたくなりました。

少し行くと柱と少しの壁だけになった平屋があったので、私と母はなんとなく敷地に入ってみました。父は道をのんびり散歩しに行きました。

一般的な一軒家よりは広いな、ここが玄関でこっちが〜等思いながら見ていると、一緒にいた母がボーッとしたり何かを呟いている事に気付きました。

はじめは私と同じで空想しているのかと思いましたが、何か雰囲気が違います。

するといきなり母は倒れてしまいました。声を掛けても反応はありません。

急いで父に助けを求めに行こうと振り返り一歩進んだ時に、気持ち悪い程の違和感が…。

一瞬解らなかったのですが、私の左にあった1枚の壁が終わったその奥…建物的には廊下を挟んで斜め向かいの部屋でしょうか、

ベッドに横たわったお爺さんやお婆さんがこちらを見ているのです。その回りの部屋の様子もぼんやりと見えます。

母からは離れられないと思い、その場で泣きながら父を呼びました。

その後、病院かお寺か迷いましたが、先に見付けたお寺に駆け込み、事情を聞いた住職さんは母を連れて奥の部屋に入っていきました。

夜も更けきった頃に住職は出てきて、とりあえず母は大丈夫という事で、話をしました。

私達が行った所は、昔老人ホーム的な施設だったそうです。

そして火事で全焼し、数人が亡くなったそうです。

焼け跡とは思えなかったのですが…。

翌朝母は目を覚まし、無事帰宅しました。

その後も何も無く過ごせています。

怖い話投稿:ホラーテラー 小羽さん  

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