短編2
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お父さん~後編~

『キャー!首吊ってる…!』

その光景を見た父兄の一人がパニックになり、取り乱しました。私は震えが止まらず、その後友人の母に連れられて公民館に戻りました。

団地の敷地内で鳴り響く救急車のサイレンの音、野次馬も沢山居ました。公民館内で関係ない野次馬たちが集まりこう言っていました。

『あそこの旦那、コレしてたってよ』

首吊ったというジェスチャーをしながら。私はその野次馬たちを睨み付けました。

弟は状況がおかしい事に気付いたのか、大泣きしています。

当時弟は小学1年。

私と弟は友人宅へ行き、迎えを待つ事に。友人の家族は私にこう言いました。

『お父さんね、具合悪くて倒れちゃって、今病院いるからね、お迎え来るまで遊んで待ってようね。』

運動会日和だったのに、外は大雨でした。どれくらい時間がたったのか、迎えに来たのは母方の叔母でした。弟はおんぶされ、私は叔母の手を取り、歩き出しました。後ろを振り返ると、友人や友人の家族が心配そうにこちらを見ていました。

『お父さんは?』

叔母に聞くと、表情を変えずに叔母は…

『お家で寝てるよ…』

自宅まであっという間に到着し、玄関前でまた震えがし出しました。ドアを開けると、線香の匂いがしました。母の泣き声…玄関から見える、正座した父兄達のやりきれない表情。

父はいつも寝ている部屋の隣の部屋に寝ていました。

顔には白い布をかけて。

私はその場に座りこんで声をあげて泣きました。

父は、浴室で首を吊った状態で亡くなっていました。後日分かった事ですが、亡くなる前日に病院にかかっていたそうです。

父は、うつ病でした。

遺書などもなく、亡くなる前日もいつもと変わらない父でした。私が生きている父を見たのは、運動会の日の朝、足を踏んでしまった時…顔を上げた父を見たのが最後でした。

父が発見される前、私の脳裏に出てきた言葉。

あれは一体何だったんだろうと…16年たった今も不思議で仕方ありません。

母にも話しましたが、もちろん信じてもらえるわけもなく…。

10月3日は…父さんの日です。

長々と読んで頂いて有り難う御座いました。

怖い話投稿:ホラーテラー 11歳の私さん  

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