貴方のお申し出に喜んで従いたいのですが…
しかし、どうしてそのようにすることができましょう。
私は混乱しています。
話すのもやっとのことです。
あの見知らぬ男の姿が目の前から追い払えないのです…
私はいつでもその姿が見えます。
彼は懇願し、せきたて、早急にも作品を求めるのです…
私も綴り続けてはいます…
休んでるときよりも、疲れないのです。
それ以外、私には恐れるものもないのです…
最後のときが鳴っているように思えます。
私は自分の才能を十二分に楽しむ前に終わりに辿り着いてしまいました…
しかし、人生は、なんと美しかったことでしょうか…
生涯は幸福の前兆の元に始まりを告げたのでした。
ですが、人は自分の運命を変えることは出来ません。
人は誰も、自分で生涯を決定することは出来ないのです。
摂理の望むことが行われるのに甘んじなくてはいけないのです。
筆を置きます。
これは死の物語…
未完成のまま残しておくわけにはいきません…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名meiquerさん
作者怖話