中編3
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俺ンちの母ちゃん 白

 俺ンちの向かい側には可愛い男の子がいる◎◎さん家族が一年ほど前から住んでいる。人柄の良いご夫婦でなにかと仲良くしていただいている。

今回はその◎◎さんンちと俺ンちの話です。よろしくお願いします。以下、◎=◎◎さんンちの奥さん、母=母ちゃん。

その奥さんがある土曜日の夕方、少し緊張した面持ちで訪ねてきた。

◎『お休みの日にゴメンナサイね…。』

母『エエよ。どうしたん?』

◎『あの……ナンもなかったみたいじゃけぇ、ゆうてエエんかどうか…』

母『??…どうしたんです?』

―奥さんの話はこうだった―

金曜の深夜、◎◎さん(ご主人さん)がベランダでタバコを吸っていた。(◎◎さんンちのベランダはちょうど俺ンちのベランダの真っ正面にある。)見るとは無しに俺ンちのベランダを見ていると、洗濯物が不自然に揺れている。

 街灯の薄灯りでよく見えないがナニかが洗濯物の下を移動しているようだ。

(俺ンちのベランダは腰高のコンクリート塀で囲まれていて二カ所ステンレスの面格子がハメ込まれている。)

 面格子を横切る人影のようなモノが見えたらしい。

 ◎◎さんは泥棒かと思い、さらに目を凝らして様子を見ていた。

―やがてソイツが立ち上がって姿を表した。

目と口が真っ黒で顔面は真っ白なモノが現れた。

『ウワっ!…』

 ◎◎さんは吸っていたタバコを落としそうになりながら急いで部屋に戻り奥さんを起こした。そして確認の為、二人で俺ンちのベランダを見に行った。しかし、そこにはもうソイツはいなかった。

―と言うことだったらしい―

◎『すぐ知らせようか思ったんじゃけど、時間も時間じゃったし…主人も(お酒)飲んで帰って来たけぇ、見間違いかもしれん思うて…。今朝、もう一回主人に聞いてみたんよ…。主人がゆうには体の大きな男で髪の毛はアフロのようじゃったらしいんよ。

ほいでから顔には13日の金曜日のジェイソンみたいな仮面を付けていたぁゆうんよ…。ウチも怖ぁなって…。ナンもなくてよかったわぁ。ウチの主人の見間違いじゃと思うけど、気を付けて…』

母『気にかけてもろうてありがとうね。それと…怖い思いさせてからホンマにごめんね。……ソレね、ご主人さんの見間違いじゃないんよ…』

◎『えっ…』

―コトの事実はこうだった―

その日の夕方父ちゃんから連絡が入り、母ちゃんは翌朝早く出掛ける用事ができた。

 母ちゃんは夜のうちに洗濯を済ますことにした。洗濯している間、試供品で貰ったパックを思い出し使ってみることにした。そしてそのままベランダに干しに行き、干す途中落としてしまった父ちゃんの靴下を最後に探していた。

 靴下が見つかり立ち上がると◎◎さんンちのベランダでタバコの火らしきものが激しく揺れ、『アヂっ!!』という声が。◎◎さんが部屋の中に駆け込む気配がした。

 《タバコの火で火傷でもしたんかねぇ?》と思いつつ、家の中へ。

◎『……へっ?!…もうヤダぁ…(大笑)…奥さんじゃったんじゃ〜?ヤダぁ…(大笑)』

母『(大笑)…驚かしてホンマにゴメンね…心配かけたお詫びとゆうてはなんじゃけど…、実家から送って来たモンじゃけど、これ持って帰って。ご主人さんにもよろしくゆうてね。』(母ちゃんがナニやら渡す)

◎『いつもアリガトね。』 奥さんは笑いながら帰って行った。

 それから俺ンちでは、そのパックを『ジェイソンパック』と呼んでいる。そして母ちゃんは密かにダイエットを始めたらしい…大きな男に見えたのがちょっとだけ、気になったようだ…(笑)

コマ切れの拙文を最後まで読んでいただきありがとうございました。m(__)m

怖い話投稿:ホラーテラー B級グルメさん

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