中編4
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会社奇談

会社の同僚 Aさん(仮名・男性)が最近会社で体験した話です。

私たちの働くオフィスは、会社の5階にあります。

不便なことに、5階に自販機などはなく、飲み物を買うときは皆 8階の自販機コーナーに行っていました。

すみません。皆様に分かりやすくお話できるよう、さも自分が体験したかのように書かせていただきます。

Aさんは、その日の仕事が大量に残っていたらしく、一人で残業をしていました。

どうにかこうにか仕事を片付け、気がついたら夜の8時になっていました。

さすがにまわりも暗くなり、Aさんも「とりあえずコーヒーだけ飲んで帰ろ」と思い、一人で電気の消えた8階へ。

Aさんはとても優柔不断で(一度一緒に食事に行ったとき15分以上も悩んでいました。)この日も自販機の前で一人で悶々と何を買おうか迷っていたそうです。

ーー………ふと、一瞬何かの音が聞こえたAさんはハッとして廊下の方をみました。自販機コーナーは、エレベーターを降りたすぐ横の休憩室にあり、その反対側がちょっと長めの廊下です。

当然この時間は電気などついていないため、廊下の奥は見えていません。

音は、その暗闇の中から聞こえてきました。

コツコツ…

コツコツ……

「…足音?」

Aさんは、一瞬警備員だろうと思ったそうですが、やがて、そうではないことに気づかされました。

コツコツ……

コツコツ……

「ハイヒール……?」

自分と同じく、残業帰りの人………という考えは起きなかったそうです。

もう、その人が確認できても良い距離から足音が聞こえるのに、何も見えなかったのです。

Aさんは恐くなり、すぐさまエレベーターに向かい、ボタンを押しました。

エレベーター待ちにも、足音は近づいてきます。

コツコツ……

コツコツ……

ちょうど 先ほどまで自分がいた自販機コーナーあたりから足音が聞こえたと同時に、エレベーターが8階につきました。

その瞬間

コツコツコツコツコツコツコツコツ!!!!!!

急にハイヒールの足音が走り出したように聞こえたそうです。

走るような足音に促されるように、Aさんは慌ててエレベーターに乗り込み「とじる」ボタンを連打しました。

そしてオフィスのある5階へ。

非常に疲れてしまったAさんは、デスクを片付け帰路につきました。

エレベーターに乗り込み、「1階」ボタンを押し………たはずなのに、何故かエレベーターは勝手に上に行ったそうです。

Aさん曰く「確実に1階ボタンを押していたし1階のランプは光ってた」だそうです。

そして、Aさんが今一番行きたくない階で止まりました。

エレベーターのドアが開くと、Aさんは生まれて初めて恐怖で叫びました。

凄く真っ赤なハイヒールが、エレベーターの前にポツンとありました。

Aさんは半泣きで叫びながら、「とじる」ボタンでエレベーターを閉めました。今度はちゃんと1階についたそうです。

Aさんは、1階につくと警備員に泣きつきました。

警備員は笑いながら、「じゃあ見てくるから待ってなさい。」と言ったそうですが、独りになるのが凄く恐かったらしく、警備員と一緒に8階へ向かったそうです。

8階は特に何もなく、警備員も「疲れてたらありもしないの見たりするから、家帰って寝なさい」とだけ言って笑いました。

Aさんはタクシーで家に帰りました。一人暮らしではなかったので、少し気が楽になったそうです。

ですが、家に着いた直後母親の一言で地獄に落とされる感覚を味わいました。

うろ覚えですがこんな会話だとAさんは言ってました。

Aさんの母「A、あんた彼女のプレゼント買うのはいいけどベッドの上に置きっぱなしはやめなさいよ!」

A「プレゼント…?買ってねえし人の部屋入んなよ」

Aさんの母親「あれ?あんたが買ったんじゃないの?ハイヒール置かれてたけど……」

Aさん「…は?」

Aさんは今、友達の家に無理を言って泊めてもらっているそうで、近々母親と一緒にハイヒールを神社に持って行くと言っていました。

Aさんはお祓いに行かれたそうです。

神主さんが言うには「霊的な気配はしません……。」だそうです。

その話を休憩中Aさんとしていると、部長が興味深い話を教えてくれました。

8階の廊下の奥に部署があるみたいです。(8階は自販機コーナー以外行ったことないんで知りませんでした…。)そちらに、ある女性が働いていたそうです。

その女性はとても明るく、責任感の強い人だったそうです。その方は毎日運動靴で通勤し、職場に着いたら、ハイヒールに履き替え仕事していたみたいです。

私たちが入社する2~3ヶ月前に通勤中に倒れて、今自宅療養中だそうです。

また、Aさんとその女性、名字が同じだそうで もしかしたら、いつまで経っても来てくれない女性が心配になって、会いに行こうとした………その時に、偶然名字の同じAさんをみつけ、Aさんをその女性と間違えて着いてきたんですかね…?(Aさんは男ですが……)

Aさんは「やべえ……その人のハイヒールだったらどうしよう………俺…神社に預けちゃったよ……」と焦っていました。

Aさんには悪いけれど、私はその人のハイヒールであってほしいと思いました。

それならば、個人的にはとても良い話だと思えますし………

何より、そうでなければ、8階にはそれ以外の何かがいるということになるので…………

怖い話投稿:ホラーテラー ころんさん

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