短編2
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死にたがり

人は何の為に生きる? 

学生時代に先生は、『人生は自分探しだ』と言っていた。

もし人は死ぬために生きているのだとしたら最後は貴方ならどう死にますか?

 

俺は某有名私立病院の精神科医をしている。俺の担当していた患者の中に女性の患者、仮に結子さんとしよう。

 

手首には無数のリストカットの痕が残る、結子さんは自殺志願者だった。

前の病院では相当強い精神安定剤を服用していたらしくコンスタンやソラナックスなど軽い精神安定剤では効かない体質だった。

 

そのため抗精神病薬を結子に処方したのは1ヶ月前。

 

その頃から結子さんは死を望むような言動を口ずさむようになる。

そして事件はおこる。

 

深夜自宅に電話が掛かる。

『先生』

結子さん?

何故彼女が俺の自宅の番組を?

考える余裕すらなく

結子さんが発する

 『私死にたい』

『結子さん どうしたの? 今どこにいるの?』

『先生私ねいつも死ぬことばかり考えてるの。 』

 

『僕は結子さんを助けたいんだよ。話を聞かせてくれないかな?』

『私いつもお守りにね カプセルを持ち歩いてるの。中にエンジェルダストが入ってるからいつでも天使になれるんだよ。』

 

『そんなもの飲むことはないよ。お願いだ結子さん僕と話そう。』

 

こんな時にどう説得したらいいのかなんて人間うまくいかないものだ。

俺は精神科医であって交渉人なんかじゃない。

自殺しょうとしている人を救えなかったことは仕事柄何度もある。

その度に自分に言い訳して向き合わず生きてきた。

だが今回は違った。  

『先生1人で死ぬのは嫌だよー 先生も先生の家族も私と一緒に天使になろうよーアハハハ ねぇ先生』

 

受話器越しから狂った結子さんの笑い声が響く。

 

『なあ結子さん今どこにいる?』

『先生の家の前にいるよぉ』

『一緒に死のうよぉ』

俺はカーテンを少し開け結子さんがいるのか確認する。

携帯を握りしめバックを持った結子さんが何故か家の前にいる。

 

有り得ない

何故?

どうやって調べてた?

精神病患者は自分の目的の為なら時に恐ろしい行動をおこす。

結子さんはずっと俺を狙っていたんだ。

バックには絶対に俺や家族を殺す為の凶器が入っている。

受話器越しからは相変わらず結子さんの狂った笑い声と

『先生出てきて一緒に死んでぇえ』

という叫び声が聞こえた。

怖い話投稿:ホラーテラー 早瀬裕也さん  

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