短編2
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8ミリ映画

8ミリ映画を知っている人は、時代と共に減っていると思います。

かつてホームビデオすら無かった頃、一部好事家の間で流行したのですが

映画フィルムのミニチュア版と考えて貰えれば良いです。

今でも愛好者は全国に少数残っており、人気は根強いものがあります。

私の友人Fも、その内の一人で、学生の頃に中古で8ミリカメラを購入して以来、

個人的な趣味で自作映画を作っていました。

ある日、6年ぶりに友人Fに、彼の自宅で会いました。

仕事が忙しく、その間にも転職や引っ越しなど色々あり、久々に会った私は思い出話を色々としましたが、

友人Fは以前と何だかキャラが変わってしまって、口数がめっきり減り、こちらの言葉にもあまり反応しなくなっていました。

断片的に聞いた感じだと、何回転職しても職場でうまくいかなくて、最近は自宅に閉じこもって働いていないようです。

一通り話しが済むと、

「今も俺撮影してるんだよ」と友人Fはボソっとつぶやき

カーテンを閉めて部屋を暗くし、自作の8ミリ映画をスクリーンに映して見せました。

タイトルは

「気が狂う91」

(なんだこれ?)と思いましたが

何かの前衛的な試みなのかと、我慢して見ました。

友人Fが一人だけずっと写っていて、カメラの前で転げ回ったり狂った表情をしたりして

気が狂った人を演じている内容でした。

それが20分間くらい、延々と続いていました。

やっと終わり、なんだかホッと溜息を付くと、友人Fは棚を開けて、こっちへ中を見せました。

そこには「気が狂う~」と付いたタイトルが、200か300くらいありました。

先ほどのタイトルは、91番目の意味だったようです。

「まだたくさん撮ってるからね」

友人Fは子供のように笑いました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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